機能性ヨーグルトと乳酸菌飲料について
睡眠の質の改善や免疫ケアのブームもあって特に乳酸菌の市場規模は2022年に前年比9%増の48億円、23年には51億円に達すると見込まれているようです。
近年の乳酸品売り場には、これまでの定番だったお腹の調子を整える以外にも様々な機能性を謳う乳酸菌・ビフィズス菌入りのヨーグルトや飲料商品が増えています。
様々な種類がありますが、自分に合う商品をどのように選べばいいのでしょうか。
機能性ヨーグルトと乳酸菌飲料について見ていきたいと思います。
目次
トクホと機能性表示食品の違いは?
ヨーグルトや乳酸菌飲料で内臓脂肪を減らすなど機能性が記されている商品は、基本的にトクホと機能性表示食品になります。
機能性表示食品は、事業者が先行研究などを基に科学的根拠を届け出さえすれば、機能性を表示できます。
トクホは、最終製品を用いた臨床試験や国の個別審査が必須になります。
機能性表示食品は、トクホと比べて科学的根拠の信憑性がまちまちになります。
認可に最終製品を用いたヒトでの臨床試験が必須のトクホに対して臨床試験なしで表示が認められている機能性表示食品は、判断が難しいということをまずは知っておきましょう。
ですが、トクホでも必ずしも信頼できるわけでもないかと思います。
機能性表示食品よりもトクホのほうがまだ信頼できるという程度です。
トクホ(特定保健用食品)
安全性や有効性について国の審査あり
最終製品を用いたヒトでの臨床試験が必須
消費者庁の許可マークあり
機能性表示食品
企業が責任を負い科学的根拠を消費者庁に届け出る
研究レビューのみで届け出ができる
許可マークなし
自分に合うヨーグルトや乳酸菌飲料を探そう
様々な商品がありますが、まずは自分がヨーグルトや乳酸菌飲料に求める機能性を選んでみましょう。
機能性表示食品の科学的根拠についての評価は難しいです。
最終商品を用いたヒトでの臨床試験を行っているのか、研究レビューで参照している研究の数や質は十分なのかを比較して納得する商品を探してみると良いかと思います。
腸内細菌に詳しい京都府立医科大学教授の内藤裕二氏によれば「科学的根拠が妥当な商品であっても効果は腸内細菌のバランスや状態に影響される。その個人差が大きいので大前提としてトクホや機能性表示食品を薬のような感覚で選ぶことはできない」と言います。
まずは、自分が求める機能で選んで2週間程度試してみましょう。
求めている効果を得られるかどうかは食生活の傾向などで個人差が大きい腸内細菌のバランスに影響されます。
万人に合う商品はありません。
求める機能を謳う商品から選んで2週間程度試してみて、全く変わらないのであれば別の商品を試すと良いかと思います。
また、乳酸菌とビフィズス菌はひとくくりにされがちですが、異なる微生物でその働きも異なります。
乳酸菌は、糖を分解して大量の乳酸を作る為、腸が酸性に保たれて悪玉菌の増殖を抑えてくれます。
小腸を整えて免疫機能も活性化させてくれます。
ビフィズス菌は、大腸で有害な菌の増殖を抑えてくれます。
糖を分解して酢酸と乳酸を作り、酢酸の殺菌力で悪玉菌の増殖を抑えてくれます。
ヨーグルトや乳酸菌飲料は生きて届く生菌入りが優れていると思われがちかもしれません。
ですが、乳酸菌の場合は免疫系に作用するのは菌そのものに含まれているので加熱処理された死菌でも効果が期待できます。
生きた菌が腸内でどう働くかはまだ分かっていないことが多く未解明なので、高価の安定性で言えば死菌のほうが良いとも言えます。
では、実際に売られている商品について見ていきたいと思います。
これからヨーグルトや乳酸菌飲料を選ぶ際の参考にしてみてはどうでしょうか。
ヨーグルトや乳酸菌飲料大図鑑
整腸作用
排便回数などで有効性を自分で確認できる
明治ブルガリアヨーグルトLB81
排便回数や量の改善が実験で認められ1996年にトクホに認定されました。
ビビダスプレーンヨーグルト
生菌を含むので腸内のビフィズス菌を増やし腸内環境を整える作用で96年にトクホに認定されました。
ナチュレ恵
小腸由来の乳酸菌のガセリ菌と大腸に生息するビフィズス菌の両方を含みます。
トクホ商品であり腸管全体の整腸効果を謳う商品になります。
ピルクル400
耐酸性のある乳酸菌の働きによって排便回数の増加や糞便内アンモニア量が減少tの実験結果によってトクホに認定されています。
豆乳グルト
豆乳を発酵した乳成分不使用のヨーグルトです。
植物性乳酸菌によって整腸作用を謳っています。
ビフィズスプレーンヨーグルト
耐酸性のあるビフィズス菌BB-12を含む整腸作用を謳うイオンのトップバリュのヨーグルトです。
睡眠・ストレス
未解明な点が多いですが、脳腸相関で注目されています。
Yakult1000
シロタ株1000憶個配合で小腸に作用します。
睡眠時間の増加や熟睡度が向上し睡眠中のコルチゾール濃度からストレス値の減少も確認されているようです。
ピルクルミラクルケア
睡眠の質改善と疲労感軽減を謳っています。
よつ葉北海道のむヨーグルト やさしい甘さ
ストレスと睡眠の両対応を謳っています。
届く強さの乳酸菌W
睡眠の質と腸内環境の改善を謳っています。
免疫機能
守る働く乳酸菌W
免疫調節に重要なプラズマサイトイド樹状細胞やNK細胞の働きを活性化し鼻の不快感も改善が期待できます。
キリン おいしい免疫ケア
プラズマ乳酸菌がプラズマサイトイド樹状細胞を活性化し免疫機能維持を謳っています。
内臓脂肪
恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト
小腸で脂肪の粒子を大きくすることで小腸に吸収されにくくなり、内臓脂肪の蓄積を抑えてくれるようです。
明治脂肪対策ヨーグルト
BMI25以上30未満の肥満気味の男女で12週間摂取した際、腹部総脂肪が摂取前よりも有意に低減したようです。
ラクトスマート
関与成分の研究では、内臓脂肪の免疫と総脂肪面積が減少したようです。
胃の負担軽減
明治プロビオヨーグルトLG21
ヘリコバクターピロリの活動を抑制する効果が謳われています。
BF-1
ヒト試験では、92.3%の人で上腹部負担が軽減したそうです。
尿酸値を抑える
明治プロビオヨーグルトPA-3
プリン体と同時摂取で通常のヨーグルトより尿酸値の変化量が少なかったそうです。
口腔環境改善
ロイテリヨーグルト
口腔フローラの改善を謳っています。
記憶力の維持
メモリービフィズス記憶対策ヨーグルト
関与成分のケイン急では50~79歳の中高年層で即時記憶、遅延記憶、視空間・構成の3領域で認知機能が向上したそうです。
血管の柔軟性維持
LKMヨーグルトBV
血管拡張反応で柔軟性を評価しBMIが高めの人で有意に改善したそうです。