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お酒は少量でも身体に悪い、健康を考えるなら飲まないのがベスト!砂糖の依存性、カロリーゼロにも注意

控え酒には根拠がある?

酒と健康に関する神話は昔からたくさんあります。
ヨーロッパでは、ワインよりもビールを先に飲むと二日酔いになりにくいという言い伝えがあるようです。
後からビールを飲むとビールに含まれる二酸化炭素で先に飲んだワインのアルコール分が吸収されやすくなるという理屈のようです。
ですが、これに対して否定する実験結果が2019年にドイツとイギリスの共同チームによって発表されました。

グループを3つに分けて、グループ1はビール、グループ2はワイン、グループ3はワインかビールのどちらか1種類を飲みます。
そして、酷い具合や翌日の喉の渇き、疲労感、頭痛などを調べたところ、2種類の酒をどの順番で飲むかは二日酔いの起きやすさや症状の重さに全く関係がないことが分かりました。

また、グループ3が2種類の酒を飲んだ他のグループより二日酔いが出にくいということもありませんでした。

摂取したアルコールは、体内に迅速に吸収されていきます。
なのでビールで飲もうとワインで飲もうとも違いはないのです。

異なる種類のお酒をちゃんぽんで飲むと悪酔いしやすいという話しもありますが、これも事実ではないようです。
同様に二日酔いを軽減するには迎え酒が良いという言い伝えもありますが、科学的理屈がないわけでもありません。
アルコール飲料の主成分は、エタノールで、発酵が過程で生じるごく微量のメタノールも含まれています。
メタノールも有害ですが、これが体内で代謝されるとさらに有害なホルムアルデヒドという物質ができます。
これが二日酔いの原因の一つになります。
そこで新たにエタノールを身体に入れることで肝臓が処理に追われます。
メタノールからホルムアルデヒドへの代謝が妨げられる、これが迎え酒が二日酔いに効くという理屈になります。

しかし、これが本当にそうなるのかは怪しいでしょう。
仮にそうだとしてもメタノールは残ります。
症状が軽くなったと感じるのは単に酔っていて麻痺しているだけかもしれません。
迎え酒が習慣化すればアルコール依存症になる可能性も高くなってしまいます。
迎え酒はしないほうが良いでしょう。

お酒は少量なら健康に良いはウソ

メディカル

「酒は百薬の長」「少量の酒であればむしろ健康に良い」と聞いたことが一度はあるのではないでしょうか。
これも酒飲みに支持されてきた一説です。
しかし、これは2018年に医学雑誌のランセットに掲載された一本の論文によって否定されました。

ワシントン大学医学部のエマニュエラ・ガキドウ教授のグループが中心となった研究です。
1990年~2016年にかけて発表された195カ国のデータに基づく約600本の治験論文を集めて統計的手法で分析を行ったものです。
複数の治験データを集めて分析をする研究はメタ分析と呼ばれています。
メタ分析は信頼性が高いことで知られています。

分析の結果、健康に良いアルコール摂取量は存在しないことが分かりました。
アルコールは摂取量に関係なく、健康に有害であるということです。
論文のポイントは、適度な飲酒は心臓をごくわずかに保護するかもしれないが、その利益を帳消しにしてしまうほどガンやその他の病気を引き起こすリスクを格段に高めるということです。
飲酒量が増えるにつれて健康リスクは直線的に上がることが判明しています。

お酒1日1杯(純エタノール換算で10g)飲む人は、まったく飲まない人に比べてガンや糖尿病などアルコールに関する23もの健康問題のリスクが0.5%、1日に2杯飲む人は7%、5杯以上飲む人は37%健康問題のリスクが上昇します。

つまり、健康を考えるならアルコールは、飲まないのがベストになります。

現在、アルコールを飲む習慣がない人が赤ワインは身体に良さそうだからと飲み始める必要もありません。
飲まないのにこしたことはないのです。
全く飲まないのが辛いという人は、1日1杯ぐらいにしたいところです。

お酒は多くの人にとって人生を楽しく過ごす為に必要不可欠になっているかと思います。
しかし、身体のことを考えるなら少しでも量を減らせると良いのではないでしょうか。

砂糖の依存性はモルヒネ並み

甘いのが好きな人が砂糖を控えめにしようとしてもなかなか上手くいかないかもしれません。
なぜなら砂糖には依存性があるからです。
デザートや甘いものが依存を引き起こすことを動物実験で示した論文がいくつもあります。

プリンストン大学のバート・ホーベル教授の研究では、1日2~4時間砂糖水を与えたネズミたちは、2~3日で砂糖水ジャンキーになりました。
砂糖水と食べ物を一緒に出すと1日中砂糖水ばかり飲んでいたそうです。
砂糖水依存になったネズミにモルヒネやヘロインの過剰摂取の治療に使われるナロキソンという薬を投与しました。
すると、歯をガチガチ鳴らして頭を前後に揺さぶり前足はピクピク震えるという麻薬の離脱症状が見られました。
砂糖が脳を刺激して脳内麻薬を作らせて依存症を引き起こすことが動物実験で証明されました。

砂糖には、モルヒネやヘロインに匹敵するほどの依存性があります。
急に止めてしまうと離脱症状を起こしてしまう可能性があるので、少しずつ減らしていくようにすると良いでしょう。

清涼飲料水よりも果汁100%ジュースのほうが健康に良いと思っている人も多いかもしれません。
ですが、これは問題の解決にはなりません。
なぜなら、どちらも健康に悪いからです。

清涼飲料水は、砂糖がたくさん入った不健康ドリンクと言えます。
果汁100%ジュースは、240mlのオレンジジュースやアップルジュースでも25g程度の砂糖が含まれています。
スポーツドリンクも注意が必要です。

ゼロカロリーはかえって不健康になる

悩むイメージ

砂糖を摂り過ぎてしまうと2型糖尿病になるリスクが高くなります。
糖尿病には膵臓からインスリンがほとんど出ない1型と生活習慣病の乱れによってインスリンの作用不足が生じる2型があります。

ある大規模な研究では、砂糖を添加した甘いドリンクを習慣的に飲んでいる人は飲まない人に比べて2型糖尿病の発症リスクが25%高くなるという結果が出ました。

また、砂糖消費量が多い国ほど2型糖尿病の発症リスクが高く、砂糖消費量が少ない国ほど発症リスクが低いことを示す研究もあります。

砂糖は身体に悪いからとゼロカロリーの甘味料を使っている人もいるかもしれません。

しかし、カナダ・マニトバ大学医学部のメガン・アザト教授らが人工甘味料を使った体重管理に関する37の治験論文をメタ分析した研究では普段人工甘味料を使用している人は、そうでない人に比べ肥満や糖尿病、心臓病のリスクがかえって高くなったという結果を発表しました。

カロリーがゼロなのになぜ太ってしまうのでしょうか。

人工甘味料は砂糖よりも格段に甘いです。
なので慣れてしまうと味覚が鈍くなって、より甘いものを求めるようになります。

そして、人工甘味料も砂糖と同様にインスリンが分泌されます。
大量にインスリンが分泌されると血液中のブドウ糖が脂肪組織に取り込まれることになるので太ってしまうのです。
ダイエットをする時に好きなものを好きなだけ食べてやせるなんてことはあり得ません。

また、体質の問題で食べていないのに太るというのもあり得ない話です。
これは、年齢とともに消費するエネルギーが減っているにも関わらず、若い時と同じような食事をしているから太ってくるのではないでしょうか。

とは言っても運動でエネルギーを消費するのもなかなか大変で難しいです。
運動量を増やしてエネルギーを消費するよりも食べる量を減らして摂取するエネルギーを減らすほうが断然簡単だからです。
ですが、食べなさ過ぎは反対に太りやすくなってしまうので食事量は少し減らす程度にして、それを長期間続けることが重要です。

そして、運動も重要ですので運動量も増やすように心掛けることも忘れてはいけません。

参考雑誌⇒PRESIDENT プレジデント 2023年.6.2号