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オメガ3脂肪酸(n-3)の真実

オメガ3脂肪酸の過酸化脂質によってエネルギー代謝がブロック、花粉症、食物アレルギー

オメガ3脂肪酸の過酸化脂質の研究

オメガ3脂肪酸のサプリメントは、既に酸化している可能性が高いです。
酸化してできる過酸化脂質は、身体に悪影響を及ぼし慢性病の原因になっていると考えることができます。

オメガ3脂肪酸は世間一般的に身体に良いとされていますが、実はオメガ3脂肪酸は身体に悪いのかもしれません。

オメガ3脂肪酸の過酸化脂質の研究は、オメガ6の過酸化脂質の研究に比べると圧倒的に少ないです。

2009年の時点での検索ですが、オメガ6脂肪酸の過酸化脂質2680論文に対して、オメガ3脂肪酸の過酸化脂質は82論分。
脳神経系や網膜などは比較的オメガ3脂肪酸が多い組織ですが、なぜかオメガ3脂肪酸の過酸化脂質の論文が圧倒的に少ないのです。

オメガ3脂肪酸の過酸化脂質の代表は、4-HHE、4-OHE、MDAなどです。
オメガ6脂肪酸の過酸化脂質の代表は、4-HNE、4-ONEです。
その他、EPA、DHAからアイソプラストン、ニューロプラストンと言う過酸化脂質も形成されます。

フィッシュオイルを健康な人に与えた実験があります。

健康な男性80名にランダムにフィッシュオイルを1日6.26gかオリーブオイルのサプリをビタミンE(900IU)の併用あるいはビタミンEの偽薬(プラセボ)の併用を与えた実験があります。(6週間)

この実験では、フィッシュオイル投与群は、ビタミンEの併用に関わらず血清リン脂質のEPA、DHAの濃度が高くなり、且つ血漿アルデヒドや他の過酸化脂質の濃度が有意に高くなりました。

さらに関節リウマチ64名にランダムにフィッシュオイル1日900mgオメガ3脂肪酸1.35g、ビタミンE90mg、ビタミンA600μg、銅3mg、セレニアムのサプリ、あるいは大豆油のプラセボを与えた実験があります。(12週間)

フィッシュオイル投与群はビタミンEなどと併用しても血漿MDA濃度に変化はなく大豆油投与群では、血漿MDA濃度の低下が認められました。
つまり、フィッシュオイル投与群によってMDAが発生していると言うことです。

MDAは、最低でも三つの二重結合を持つ多価不飽和脂肪酸であるアラキドン酸、EPA、DHAからしか発生しません。
オメガ6脂肪酸の代表のヒマワリ油が酸化すると4-HNEが最も多く発生しますが、MDAや4-HHEの発生量は少ないです。

MDAは、主にオメガ3脂肪酸が脂質過酸化によって発生すると考えることができます。

MDAは、ミトコンドリアの電子伝達系の酵素であるサイトクロームCオキシデースに結合をしてエネルギー代謝をブロックすることが分かっています。

二型糖尿病の人は健康な人と比較して有意に血液中MDA濃度が高いことも報告されています。
自閉症などの発達障害に位置付けられているレット症候群では、健康な人と比較して有意にDHAの過酸化脂質」であるニューロプラストンの血液濃度が高いことが分かっています。
このニューロプラストンは、病状が進行する程高くなります。

その他、多発性硬化症、自閉症、ダウン症候群などの神経系の病態の進行と共にDHAから生成されるニューロプラストンが増加することも分かっています。

花粉症、食物アレルギーは過酸化脂質が関係

スギ花粉

植物はαリノレン酸が豊富です。
そのαリノレン酸の酸化で形成される過酸化脂質をファイトプラストンと言います。

植物の葉、花粉、根に存在して植物油脂に豊富に存在しています。
花粉のファイトプラストンによってヘルパーT細胞がTh2へ分化することによってアレルギー反応が引き起こされます。
花粉症の本当の原因は花粉に含まれている過酸化脂質です。

そして、多くの食物アレルギーと言われるものは、オメガ3やオメガ6の過酸化脂質がタンパク質やDNAに結合してできた炎症ゴミが関係しています。

食品に含まれる多価不飽和脂肪酸は、加工や保存する過程で酸化されて食品のタンパク質成分と結合をします。
この変性したタンパク質は、消化酵素では分解されにくくなります。

タンパク質を分解する消化酵素自体が過酸化脂質であるアルデヒドで変性してしまい機能と構造が壊されていることが関係しています。

実際にオメガ3脂肪酸から生産される過酸化脂質MDAと結合した変性タンパク質は、アレルギーの指標とされる免疫反応が高くなることが分かっているようです。

多くの食物アレルギーと言われるものは、食品中にある多価不飽和脂肪酸が酸化することによって炎症ゴミが侵入して、それに対する私たちの生体反応だったと言うことです。

脳や網膜では、オメガ3過酸化脂質よりもオメガ6過酸化脂質が多い

ラットのアルコール離脱モデルでは、グルタチオンと過酸化脂質の結合体は、オメガ6脂肪酸よりオメガ3脂肪酸の方が5~20倍多いことが分かっています。
脳では、オメガ3脂肪酸の過酸化脂質の方が多いので脳神経の障害はオメガ6脂肪酸よりもオメガ3脂肪酸を調べないといけません。

ラットの網膜では、オメガ3脂肪酸の過酸化脂質結合体は、オメガ6脂肪酸の過酸化脂質の結合体より2倍多いと報告されています。

糖尿病ラットの網膜では、オメガ3脂肪酸の過酸化脂質結合体は6倍以上に増加してオメガ6脂肪酸の過酸化脂質の結合体は2.5倍にそれぞれ増加したそうです。

網膜も脳神経と同じで網膜障害ではオメガ3脂肪酸の過酸化脂質を調べることが重要となります。

健康な人の尿ではオメガ3脂肪酸の過酸化脂質が多い

健康な人の尿の過酸化脂質を調べた研究があります。
それによるとオメガ3脂肪酸の過酸化脂質のアルデヒド脱水素酵素代謝産物は、オメガ6脂肪酸の過酸化脂質のアルデヒド脱水素酵素代謝産物よりも多いと言う結果だったそうです。
これは生体内では、オメガ6がオメガ3よりも過酸化脂質が多く生成されることです。

オメガ6の過酸化脂質とオメガ3の過酸化脂質の生物活性は、ほぼ同じです。
ですが、オメガ6の過酸化脂質の方がオメガ3の過酸化脂質よりも親和性が高いので、生体内ではオメガ6の過酸化脂質の方が消化管での吸収が高く血液濃度も高くなります。

オメガ3の過酸化脂質の方が生体内の循環に多いことは、オメガ6の過酸化脂質の研究に偏った現状は少しおかしいと言えるのではないでしょうか。

参考書籍⇒オメガ3の真実 フィッシュオイルと慢性病の全貌