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夏場に多い食中毒、予防をする6つのポイント

食中毒とは?

食中毒とは食中毒を引き起こす、もととなる細菌やウイルス、有害な物質がついた食べ物を食べることによって下痢や腹痛、吐き気などの症状が出る病気です。
原因によって症状や症状が出るまでの時間が様々です。
場合によっては命を落とすこともあります。

厚生労働省の食中毒統計によると2021年の食中毒患者は11,080人です。
このうち細菌性の食中毒患者が5,638人で半数を超え、ウイルス性の患者が4,733人となっています。
細菌性とウイルス性の食中毒患者は全体の約94%になります。
食中毒の発生件数は全体で717件、最も多かったのは寄生虫の348件です。
次いで細菌が230件、ウイルスが72件となっています。
寄生虫の348件のアニサキスが344件となっています。

近年、全国的に魚介類についている寄生虫による食中毒が増加しているとのことです。

患者数が最も多い細菌性の食中毒には、サルモネラ属菌、ブドウ球菌、ボツリヌス菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、その他の病原大腸菌、ウェルシュ菌、セレウス菌、エルシニア・エンテロコリチカ、カンピロバクター・ジェジュ二/コリ、ナグビブリオ、コレラ菌、赤痢菌、チフス菌/パラチフスA菌などがあり、6月~10月にかけて患者が増加します。

その一方でノロウイルスに代表されるウイルス性の食中毒は冬に増える傾向があります。
その他に洗剤などが食品に混入して発生して起こる化学物質による食中毒や毒キノコなどの動植物性の自然毒などがあります。

細菌性食中毒

細菌性食中毒は、夏場に多いですが主に感染型と毒素型に分類することができます。

感染型は食品内に細菌が増え、食品と一緒に入って来た細菌が腸管の表面に定着をしたり、腸管細胞の内部に感染したりして引き起る食中毒のことを言います。
一般的に毒素型に比べて潜伏期間が長いとされています。
毒素型は、食品内で細菌が生産した毒素を摂取することで起こる食中毒です。

一般的に食中毒を引き起こす細菌の多くは室温約20℃で活発に増殖し始め、人間や動物の体温くらいの温度で増殖のスピードが最も早くなります。
高温多湿を好み繁殖が活発になるので、気温と湿度が上がる梅雨から秋にかけて細菌による食中毒が多く発生をします、
特に発生件数が多いのは、カンピロバクターとウェルシュ菌です。

カンピロバクターは、鶏や牛などの家畜動物やペット等の腸内管に生息していて食肉全般に付着をしています。
カンピロバクターに感染をした数週間後にギランバレー症候群を発症することがあり、手足や顔面神経の麻痺、呼吸困難等が生じます。
これは食中毒の症状が軽かった場合でも発症する可能性もあります。

ウェルシュ菌は、大量調理で加熱不足の料理に注意が必要になります。
60℃以上の環境では増殖することができませんが、芽胞と言う硬い殻に覆われて休眠をして生き延びることができます。
100℃で加熱をしても芽胞で守られていて菌は死滅しません。
芽胞に覆われている休眠している菌は体内に入っても休眠状態のままで体外に排出されます。

なので調理後すぐに食べれば何の問題もありませんが、50℃以下になると増殖しやすくなります。
調理後に室温で放置していると菌が増殖をしやすい温度になってしまうので食中毒の原因になってしまいます。
ウェルシュ菌は、カレーやシチューなどの煮込み料理に注意をする必要があります。

料理を放置しないように気をつけ、作り置きにする時は小分けにして冷蔵庫に入れるようにしましょう。
素早く冷やすようにすると菌の増殖抑えることができます。

細菌性食中毒を予防する6つのポイント

メディカル

家庭で発生する食中毒は、食品の取り扱いの不注意から起こることが多いです。
食中毒予防の三原則と言うものがあり、それが「細菌をつけない」「細菌を増やさない」「細菌をやっつける」です。

家庭でできる食中毒予防の6つのポイント~過程で行うHACCP(宇宙食から生まれた衛生管理)~はこの食中毒予防の三原則を基にできています。

ポイント1食品の購入

・肉、魚、野菜等の生鮮食品は新鮮な物を購入しましょう。
・表示のある食品は、消費期限等を確認し購入をしましょう。
・購入した食品は、肉汁や魚等の水分がもれないようにビニール袋等にそれぞれ分けて包み持ち帰りましょう。
・特に生鮮食品等のように冷蔵や冷凍等の温度管理の必要な食品の購入は、購入したら早めに帰るようにしましょう。

ポイント2家庭での保存

・冷蔵や冷凍の必要な食品は持ち帰ったら直ぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
・冷蔵庫や冷凍庫の詰め過ぎに注意しましょう。目安は冷蔵庫や冷凍庫の7割程度になります。
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下に維持することが目安になります。
細菌の多くは、10℃では増殖がゆっくりとなり、-15℃では増殖が停止します。
ですが、細菌が死滅するわけではありませんので早めに使い切るようにしましょう。
・肉や魚等は、ビニール袋や容器に入れて、冷蔵庫の中の他の食品に肉汁等がかからないようにしましょう。
・肉や魚、卵等を取り扱う際は、必ず手を洗うようにしましょう。
・食品は流し台の下に保存をする場合は、水漏れ等に注意をしましょう。

ポイント3下準備

・台所を見渡してみましょう。
ゴミはきちんと捨ててあるか、タオルやふきんは清潔な物と交換をしているか、石鹸は用意してあるか、調理台の上は、片付けて広く使えるようになっているかをチェックしましょう。
・井戸水を使用している場合、水質に注意をする必要があります。
・手を洗いましょう。
・生の肉、魚、卵を取り扱った後は、手を洗うようにしましょう。
途中でペット等動物に触ったりトイレに行ったりした後も手を洗いましょう。
・生の肉や魚等の汁が果物やサラダ等、生で食べる食品や調理の済んだ食品にかからないようにしましょう。
・生の肉や魚を切った後、その包丁やまな板を洗うようにしましょう。
包丁やまな板は、肉用、魚用、野菜用と使い分けるとより安全です。
・ラップしてある野菜やカット野菜もよく洗うようにしましょう。
・冷凍食品等凍結している食品を調理台に放置したまま解凍するのはやめましょう。
解凍は、冷蔵庫の中や電子レンジで行うと良いです。
・調理に使う分だけ解凍をして解凍が終わったらすぐに調理をしましょう。
冷凍や解凍を繰り返すと食中毒菌が増殖する場合があります。
・包丁、食品、まな板、ふきん、たわし、スポンジ等は使った後は、直ぐに洗いましょう。

ポイント4調理

・調理を始める前にもう一度台所を見渡してみましょう。
台所が汚れていないか等
・加熱する時は十分に加熱をしましょう。
目安は75℃で1分間以上加熱することです。
・電子レンジを使う場合は、電子レンジ用の容器、ふたを使い、調理時間に気を付け熱の伝わりにくい物は時々かき混ぜることも必要です。

ポイント5食事

・食事の前には手を洗うようにしましょう。
・清潔な手で清潔な器具を使い、清潔な食器に盛り付けましょう。
・温かく食べる料理は温かく、冷やして食べる料理は冷たくしておきましょう。
目安は温かい料理は65℃以上、冷やして食べる料理は10℃以下です。
・調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置しないようにしましょう。
・乳幼児や高齢者はO157等の腸管出血性大腸菌感染症は症状が重くなりやすく死亡率も高くなりますので、加熱が不十分な肉等は食べないようにした方が安全です。

ポイント6残った食品

・残った食品を扱う前にも手を洗いましょう。
・残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存をするようにしましょう。
・時間が経ち過ぎたら捨てましょう。
・残った食品を温め直す時も十分に加熱をしましょう。
・少しでも怪しいと思ったら捨てましょう。

お腹を押さえる女性

軽い吐き気や便がゆるいと言った症状があり、食中毒の疑いがある場合は水分を十分に摂取して様子を見ますが、基本的に病院で診てもらいましょう。
下痢や嘔吐がひどい、水を飲むことができない、尿量が少ない、めまいがする、口が渇くなどの脱水症状、腹痛が酷いなどがある場合や妊婦、乳幼児、高齢者の方は医療機関を受診するようにしましょう。

食中毒の時に下痢止めを飲んでしまうと逆効果になるので下痢止めは服用しないようにしましょう。