トレーニング・フィットネス

背中トレーニングのベントオーバーローは「順手」か「逆手」か?筋電図での筋活動が示す効果的なトレ

背中の厚みを作る王道種目、ベントオーバープル(ベントオーバーローイング)

トレーニング現場では「逆手(アンダーグリップ)の方が広背筋にストレッチがかかる」「可動域が広がる」といった声をよく耳にするかと思います。
ですが、自分のその「感覚」は、本当に「筋肉の活動」と一致しているのでしょうか?

筋電図を用いた研究により、「背中を厚くしたいなら、どちらのグリップを選ぶべきか」という問いに対し、明確な答えが出されています。
この記事では、データに基づいた「背中のトレーニングの真実」を解説していきたいと思います。


研究で判明!「順手」と「逆手」の筋活動量の差

男子大学生を対象に行われた筋電図測定調査(プロネイティッド vs スピネイティッド)では、驚く結果が示されました。

広背筋・僧帽筋を狙うなら「順手」が圧倒的

研究の結果、以下の部位すべてにおいて、逆手よりも順手(プロネイティッド)の方が有意に高い筋活動量を記録しました。

  • 広背筋下部
  • 僧帽筋中部
  • 僧帽筋下部

このことから、背中の広がりや厚みを作る主要な筋肉をターゲットにする場合、順手の方が効率的に負荷をかけられることが分かりました。

「逆手」は腕のトレーニングになりやすい

一方で、逆手(スピネイティッド)で行った場合、上腕二頭筋(力こぶ)の筋活動が有意に高くなることが判明しています。

背中を鍛えているつもりでも、実際には「腕の力」に依存した動作になりやすく、広背筋への刺激が逃げてしまっている可能性が高いと言えます。


なぜ「逆手の方が効く」という誤解が生まれるのか?

SNSやジムの現場では、今でも逆手を推奨する声が少なくないと思います。

では、なぜ科学的なデータと現場の感覚にズレが生じているのでしょうか。

主観的な「パンプ感」の罠

逆手で行うと、上腕二頭筋が強く収縮します。
この「腕のパンプアップ感」を、背中が使われている感覚と混同してしまうケースが多いのかもしれません。

可動域とストレッチの勘違い

「逆手の方が肩関節を外旋させやすく、広背筋を最大収縮・最大ストレッチさせやすい」という理論があります。
確かに解剖学的な理論としては一理ありますが、実際の筋活動(筋肉がどれだけ働いているか)という指標では、順手のほうが活動が高くなります。


実践:背中のトレーニング効率を高める3つのポイント

研究結果を踏まえ、背中のトレーニングを最適化するためのガイドラインを紹介します。

項目順手 (Overhand)逆手 (Underhand)
主なターゲット広背筋、僧帽筋(中部・下部)上腕二頭筋、広背筋(一部)
筋活動量高い(背中に集中)低い(腕に分散)
推奨シーン背中の厚み・広がりを作りたい時腕も同時に動員したい時

① 基本は「順手」でセットを組む

背中の筋肉を最大限に動員し、最短でバルクアップを狙うなら、手のひらを自分に向ける「順手(プロネイティッドグリップ)」を選択するのが、最も効率的と言えそうです。

② 目的を明確に使い分ける

もちろん、逆手が完全に悪というわけではありません。
「腕の関与を増やして高重量を扱いたい」「背中のバリエーションとして取り入れたい」という明確な意図がある場合を除き、背中の集中を優先するなら順手を選びましょう。

③ 「感覚」より「データ」を優先する時期も必要

トレーニングにおける「効いている感覚」は重要ですが、それが必ずしも物理的な筋活動量と一致しないこともあります。
停滞期を感じているなら、一度「感覚」を捨てて「データ」に基づいたフォームに修正することが突破口になるかもしれません。


まとめ|迷わず「順手」で引け!

実際の筋活動を見ると、背中を大きくしたいなら順手がおススメです。

もし、今「逆手のベントオーバーローで行き詰まりを感じている」「背中よりも先に腕が疲れてしまう」と悩んでいるなら、明日からは順手に切り替えてみてください。

グリップをわずか数センチ変える。その選択が、背中の厚みを劇的に変える第一歩になるかもしれません。