減塩は意味なし?禁煙・禁酒は倫理的な問題も
「減塩って本当に効果あるの?」
「運動だけでやせるのは難しいって本当?」
「健康のために、なぜか嫌いな運動を続けないといけないの?」
多くの人が信じている健康習慣やアドバイスについて、疑問を感じたことはありませんか?
実は、「健康のため」とされている習慣の中には、その効果が限定的であったり、別の側面から見ると問題があったりするものもあります。
この記事では、減塩、運動、禁煙、禁酒といったテーマについて、一般的な健康常識とは異なる視点から解説していきたいと思います。
減塩は本当に意味がないのか?脳卒中・心筋梗塞予防効果の疑問
高血圧と診断されていなくても、健康のために減塩を意識している方は多いかと思います。。
しかし、「減塩が高血圧予防に良い」という通説には、疑問を投げかける意見も存在します。
減塩の推奨と日本の現状
世界保健機関(WHO)は1日の食塩摂取量を5gという目標を掲げていますが、厚生労働省の基準は成人男性で7.5g、女性で6.5gです。
一方で、日本人の平均食塩摂取量は約10.1gと、国際的な基準から見れば高めです。
しかし、不思議なことに、塩分摂取量が多いとされる日本人が世界トップクラスの長寿国でもあるのです。
歴史的視点と研究データからの考察
冷蔵庫がなかった時代、日本人は食品を塩漬けにして保存していたので、現代よりもはるかに多くの塩分を摂取していました。
にもかかわらず、高血圧が注目され始めたのは最近のことです。
当時は、飢餓や感染症など、別の要因で寿命が短かったため、心筋梗塞や脳卒中になる年齢まで生きる人が少なかったという背景もあります。
また、1950年代には一部地域で1日27gもの塩分を摂っていたにもかかわらず、その後の塩分摂取量の減少と脳血管疾患による死亡率の推移を見ると、必ずしも減塩が死亡率低下に直結しているとは言えないデータも存在するようです。
最近の大規模な研究では、もともと血圧が高くないアジア人において、塩分を減らしても血圧は下がらないという結果が出ています。
これは、「減塩をしても意味がない」と解釈される可能性があります。
高血圧患者への減塩効果とその影響
高血圧と診断された人が減塩すると、約7mmHgの血圧低下が見られたという研究結果もあります。
しかし、血圧は常に変動するものであり、この7mmHgという数値は、日常的な測定誤差の範囲内とも考えられます。
減塩の本来の目的は、高血圧が引き起こすとされる脳卒中や心筋梗塞を減らして長生きすることかと思います。
ですが、この観点から見ると、塩分を減らしたことによる脳卒中や心筋梗塞の予防効果は、現在のところ確認されていません。
降圧薬を服用しても病気の発症を先送りするに過ぎないという考え方がある中で、さらに効果が小さいとされる減塩が、本当に病気を防ぐ有効な手段と言えるのかどうかは、議論の余地があると言えるのではないでしょうか。。
「運動だけでやせる」は難しい?ダイエットと健康維持のバランス

「やせるために運動しなきゃ!」と考えている人も多いと思います。。
ですが、一般的な運動量で「運動だけでやせる」のは非常に難しい場合が多いです。
運動による消費カロリーの現実
運動で消費されるカロリーは、私たちが思っているよりも少ないことがあります。
例えば、軽い運動後にスポーツドリンクを飲んだだけで、その消費カロリーが相殺されてしまうこともあります。
2006年の研究データをまとめた報告によると、食事制限のみで2.3~16.7kgの減量が見られたのに対し、運動に加えて食事制限を行った場合は3.4~17.7kgの減量でした。
その差は約1kgと、運動を加えることによる減量効果は限定的である可能性が高いということです。
ダイエットの近道は「食事管理」
もし純粋にダイエット目的でやせたいのであれば、運動よりも食事内容に気を配る方が、より手っ取り早く結果に繋がりやすいです。
もちろん運動は大事なのですが、ダイエットは食事管理でほぼ決まると言っていいです。
健康維持のための運動の価値
運動にはダイエット以外の重要な役割があります。
特に、年齢を重ねても筋肉を維持し、体力を向上させることは、転倒予防など不慮の事故を防ぐ上で非常に重要です。
日本では年間約5万人が不慮の事故で亡くなっており、そのうち約8000人が転倒によるものです。
運動が好きな人は是非継続すべきですが、「健康のため」と無理に嫌いな運動を続ける必要はありません。
運動を継続して好きになっていけば良いですが、なかなかそうもならないと思います。
精神的な負担になるくらいなら、無理をしない選択も大切です。
もし運動習慣がない場合は、ケガのリスクを避けるためにも、体力に合わせて少しずつ始めるようにしてみましょう。
禁煙・禁酒は「倫理的に問題」?個人の自由と医師のアドバイス

医師が患者に対し、「健康のために生活の楽しみを我慢しなさい」と食事制限を課したり、好きでもない運動を強いたりすることは、倫理的な問題を含むという見方もあります。
これは、「人は健康のために生きているわけではない」という考え方です。
私個人的にもそう思います。
喫煙・飲酒と健康リスク
もちろん、医師の立場からすれば、喫煙や飲酒は身体に悪影響を及ぼすため、「やめた方が良い」とアドバイスせざるを得ません。
お酒は、かつては少量であれば身体に良いとされた時期もありましたが、現在では「飲まない方が身体に良い」という認識が一般的です。
過剰な飲酒は肝臓病や食道静脈瘤、さらには交通事故などのリスクを高めます。
喫煙は脳卒中や肺がんのリスクを高める主要な因子になります。
しかし、これらが嗜好品としての個人の楽しみであることも事実です。
受動喫煙への配慮は必要ですが、個人の喫煙や飲酒の権利を一方的に否定することは、倫理的な観点から慎重であるべきだと思います。
医師のアドバイスと病気の予防
医師が減塩、運動、禁酒、禁煙といった生活習慣の改善をアドバイスすることは、病気予防の観点からは非常に便利であり、推奨される行為です。
しかし、これらの生活習慣の改善は即効性があるわけではなく、長期的な継続が必要です。
また、生活習慣の改善だけで全ての病気を完全に防げるわけではありません。
私たちは、年齢を重ねれば身体の機能が衰え、何らかの病気になり、死を迎えることになります。
脳卒中、心筋梗塞、がんといった病気から完全に逃れることはできない、という自然の摂理を受け入れる視点も重要ではないでしょうか。
まとめ
この記事では、一般的な健康常識について、異なる視点から検証しました。
- 減塩
もともと血圧が高くない人には効果が限定的である可能性や、脳卒中・心筋梗塞予防効果が確認されていないという研究結果があります。
日本の長寿の事実も、減塩の効果について再考を促します。 - 運動
筋肉を維持することは転倒予防に重要ですが、「運動だけでやせる」のは難しい場合があります。
ダイエットの近道は食事管理ですが、健康維持のためには無理のない範囲での運動継続が推奨されます。 - 禁煙・禁酒
健康リスクは高いものの、嗜好品としての個人の楽しみや権利を尊重すべきという倫理的な視点も存在します。
「健康のため」という名目のアドバイスが、個人のQOL(生活の質)や精神的健康を損なうものであってはならない、という考え方も重要です。
最終的には、自身の価値観と科学的根拠に基づき、バランスの取れた健康的なライフスタイルを選択することが最も大切と言えると思います。
参考雑誌⇒PRESIDENT 健康診断のウラ側










