【過眠症・特発性過眠症】日中の強い眠気の原因は?症状・診断・効果的な対策を解説
過眠症とは?日常生活に影響を及ぼす強い眠気の正体
過眠症とは、通常の睡眠時間(夜間睡眠を十分に確保しているにもかかわらず)日中に耐え難いほどの強い眠気を感じ、日常生活に支障をきたす状態を指します。
単なる寝不足とは異なり、たとえ睡眠時間が長くても疲れが取れない、すっきりしないといった特徴があります。
この持続的な強い眠気は、仕事や学業の効率低下、集中力の欠如、さらには交通事故などのリスクを高める可能性があり、早期の発見と適切な治療が極めて重要です。
特発性過眠症とは?ナルコレプシーとの違い
過眠症の中でも、疲労や他の病気、薬の副作用など、原因がはっきり特定できないものを「特発性過眠症」と呼びます。
- 特徴:
- 夜間の睡眠時間が正常か、または11時間以上と長い傾向がある。
- 居眠りの時間が1時間以上と長くなることがある。
- 仮眠をとっても眠気が解消されにくい。
- 目覚めが悪く、ぼーっとした状態が続く(睡眠酩酊)。
- ナルコレプシーに見られる情動脱力発作(感情の高ぶりで体の力が抜ける)や入眠時レム睡眠(寝入りばなのレム睡眠)が乏しい、または見られない点が異なります。
特発性過眠症を疑ったら?まずはセルフチェック
ご自身の症状が特発性過眠症の可能性があるかを判断するために、まずはセルフチェック(自己診断ツール)が有効です。
- 日中の強い眠気の頻度と程度
- 夜間の実際の睡眠時間
- 居眠りの長さ
- 日常生活(仕事・運転など)における眠気の影響
これらの質問に答えることで、専門医の受診が必要かどうかの判断材料になります。
しかし、セルフチェックはあくまで目安であり、確定診断には至らないことを理解しておきましょう。
確定診断には専門的な検査が必要
特発性過眠症の確定診断を受けるためには、睡眠専門医による問診と、以下の精密検査が必要です。
- 終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
睡眠中の脳波、眼球運動、呼吸、心電図などを一晩かけて詳細に記録し、睡眠の質や、睡眠時無呼吸症候群など他の睡眠障害の可能性を除外します。 - 反復睡眠潜時検査(MSLT)
PSG検査の翌日に行い、日中に何度も短い仮眠の機会を設けて、客観的な眠気の強さ(寝付くまでの時間)を計測します。
この結果から、特発性過眠症か、ナルコレプシーなどの別の病気かを鑑別診断します。
これらの検査により、生活リズムの問題、精神的な病気、薬の影響などを排除した上で、特発性過眠症の診断が確定されます。
特発性過眠症の治療と生活改善のポイント
特発性過眠症の治療は、生活習慣の改善と薬物療法が柱となります。
1. 生活習慣の改善(非薬物療法)
治療の土台として、十分な夜間睡眠時間の確保と規則正しい生活リズムが重要です。
- 規則正しい睡眠
毎日決まった時間に寝起きし、特に夜間睡眠時間を十分に確保する。 - 適切な睡眠環境
質の良い睡眠のために、寝室の温度や湿度、光などを調整する。 - 食事と運動
規則正しい3度の食事と適度な運動を習慣づける。 - 刺激物の制限
寝る前のカフェインやアルコール、ニコチンの摂取は控える。 - 仮眠の工夫
日中の居眠りが長くなりがちであれば、医師の指導のもとで仮眠時間や回数を調整する。
2. 薬物療法
日常生活に支障をきたす強い眠気に対しては、脳の覚醒中枢に作用する中枢神経刺激薬などが用いられます。
特に、モダフィニル(モディオダール)などが保険適用となっており、医師が効果や副作用を慎重に判断しながら治療を進めます。
どこで相談すればいい?
「たくさん寝ているはずなのに日中眠い」「目覚めがすっきりしない」といった症状が続く場合は、精神科、心療内科、脳神経外科などに設置されている睡眠外来の受診を推奨します。
適切な専門医の診断と治療により、日中の過度な眠気をコントロールし、生活の質(QOL)を向上させることが可能です。
過眠症は決して気のせいではありません。気になる症状があれば、ためらわずに専門家へ相談しましょう。










