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副腎と老化

副腎の機能が低下して起こる症状10、老化、不眠、更年期、生活習慣病、自己免疫疾患など

副腎の機能が低下して起こる症状10

老化症状は体内の炎症と捉えることができます。
どの火種がより大きくなるかによって出てくる症状も変わってきます。
物忘れやうつ、体力・気力の低下、不眠、更年期障害、便秘などの腸トラブル、糖尿病、高血圧、メタボ、髪、肌の衰えなど身体の老化から見た目の老化まで副腎が関係しています。

1.物忘れ、思考力・認知機能の低下

物忘れや思考力の低下に悩んでいる人は、もしかしたら副腎が疲れているのかもしれません。
事実、ひどい副腎疲労の状態に陥ると「ブレインフォグ」といって脳に霧がかかったような状態になり認知機能が下がります。
ストレスによって必要とされるコルチゾールの量がどんどん増えてしまうと、そのことが海馬を傷つけ記録する最も大切な機能を落とす為に認知機能が下がっていくのです。

認知機能が下がる原因には、性ホルモンの分泌低下もあります。
副腎はホルモンを分泌する器官であり、その土台を支えていますので副腎の疲れはダイレクトにホルモンに影響を及ぼしています。
特に更年期と重なって女性ホルモンや男性ホルモンの低下が起こると認知機能が低下することがあります。
同様に甲状腺ホルモンの機能にも影響を与えるので同じく認知機能が下がったような状態になることもあります。

2.不眠症、睡眠障害

睡眠障害女性

年齢を重ねることによって「眠れなくなった」「夜中に目が覚めてしまう」と言う声をよく聞くようになるのではないでしょうか。

実は、このような不眠なども副腎が大きく関わっています。
副腎から分泌されるコルチゾールは、朝の目覚めを助ける働きをしています。
健康な人のコルチゾールの分泌量は、朝4~6時くらいから増え始めて午前8時頃をピークに夜に向かって下がっていき夜中から午前4時にかけて最も低くなる1日の中での分泌リズムがあります。
つまり、早朝からコルチゾールの分泌量が増えることで目覚めて分泌量が減ることで身体は休まっているわけです。
ですが、副腎が疲れていると1日のコルチゾール分泌のリズムが崩れてしまいます。

一方でコルチゾールと対のような働きをしているのがメラトニンです。
メラトニンは、脳の松果体から分泌されるホルモンになります。
別名睡眠ホルモンです。

メラトニンの分泌は21時頃から始まり眠気を感じるようになります。
コルチゾールとメラトニンは、太陽と月に例えられます。
コルチゾールが太陽でメラトニンが月です。
自然界では、太陽が沈むと月が出てくるように体内のホルモン分泌もこのオンとオフのメリハリが大切になります。

ですが、副腎が疲れているとこのオンとオフの切り替えが上手くできなくなってしまい不眠などの睡眠障害に繋がってしまいます。
不眠を解消するには、昼と夜のオンとオフを明確にして生活にメリハリをつけることが大事です。

3.イライラなどの感情のコントロールができない

感情

ささいなことで暴力をしたり、怒鳴ったり、最近では暴走老人と呼ばれるキレる高齢者が多いようです。
また、何をするにも億劫になり、外出しなくなると言う高齢者の引きこもりも社会問題になってもいるようです。
このようなことも性格や精神的な問題と片付けられがちですが、もしかしたら副腎が原因になっているのかもしれません。
なぜなら副腎の機能が低下すると思考力は低下して感情のコントロールも効きにくくなるからです。

副腎は「手いっぱいな状態」を嫌う臓器になります。
余力がないと生命の危機に陥ってしまうので何よりも副腎に余力を持たせることを優先します。
先ほどのブレインフォグの状態にして認知機能を低下させるのも副腎を働かせないようにする為に副腎が自分を守る為の策なのです。

副腎の仕事はストレスに対応することなので、副腎を休めるにはなるべくストレス対応をしないで済むような環境を作ろうとします。

つまり「他人との関係を断つ」「いつもと違うこと、慣れないこと、新しいことを避ける」「他人を排除する」ということをして自分を守ろうとしているのです。
それを傍から見れば「付き合いの悪い人」「引きこもりがちな人」「偏屈な人」「頑固な人」になります。
もしかしたらその人の人間性ではなくて副腎が疲れているからかもしれません。

4.高血圧、糖尿病、脂質異常症、動脈硬化、肥満などの生活習慣病

生活習慣病も副腎が関係あるのかもしれません。
副腎が疲れていると火消しをするコルチゾールの分泌量が減ってきます。
動脈硬化は血管の炎症、糖尿病は細胞の炎症ですので、コルチゾールの分泌量が低下すると炎症を抑えきれなくなってしまうので高血圧症や脂質異常症、メタボにまで繋がってくると言えます。

5.うつ、倦怠感

落ち込んでいる女性

副腎が働き過ぎて疲れてしまうと心も身体も疲れてしまいます。
コルチゾールの分泌量が少なくなってしまうとストレスに対抗できなくなりパワーが出ない状態になります。
すると副腎は、ストレスにさらされなくて済むような環境にしようとするので家に閉じこもりがちになったり、抑うつ状態になって何事にもやる気が出なくなったりします。

6.更年期障害

40~50代の女性で顔のほてりや発汗がある、ぼーっとすることが多い、疲れが取れない、気分が落ち込む、イライラするなどの更年期障害に悩まされている人は多いかと思います。
一般的に女性ホルモンの減少が原因とされていますが、実はそれだけではないのかもしれません。
もしかしたらこれも副腎が関係している可能性もあります。

閉経後の女性ホルモンは、卵巣だけでなく腎臓でも作られています。
なので腎臓が疲れてしまうと女性ホルモンの分泌が減少して更年期障害が出てきます。

女性ホルモンのエストロゲンは卵巣から、男性ホルモンのテストステロンは精巣から分泌されていると多くの人が思っているかと思います。
もちろんそうなのですが、卵巣や精巣だけでなく副腎でも女性ホルモン、男性ホルモンが作られています。

女性の場合、40歳を過ぎるころからエストロゲンの分泌量がガクンと減っていきます。
ところが副腎が元気ならエストロゲンの分泌量が急激に減ることがなくなりゆっくりと落ちていきます。

副腎は、卵巣からエストロゲンの分泌量が減っていることが分かると身体に必要な分を分泌してくれます。
副腎が元気であれば、年齢を重ねても女性ホルモンは低め安定に維持され続けることができます。

7.骨粗鬆症

骨がスカスカになり脆くなるのが骨粗鬆症です。
男性にも見られますが、圧倒的に女性が多いです。
更年期障害と同じで骨粗鬆症は女性ホルモンが大きく関係をしています。
女性ホルモンのエストロゲンは骨の新陳代謝にも関わっているからです。
エストロゲンが減少してしまうと骨の形成が追い付かなくなり骨量が減っていってしまいます。

8.便秘、下痢、お腹の張りなど

お腹を押さえる女性

便秘、下痢、お腹にガスが溜まりやすいなどの腸のトラブルも副腎が関係しているのかもしれません。
副腎から分泌されるコルチゾールが不足すると胃腸粘膜の組織の修復が上手くできなくなってしまうからです。
また、消化酵素も出にくくなるので便秘や下痢、胃炎などになってしまいます。

ストレスで起るとされている過敏性腸症候群がありますが、これはストレスによって副腎が疲れていることも大きな原因として考えることができます。
ここで気を付けたいことは、お腹が弱いからと言って下痢止めや下剤などを飲んでいるとさらに副腎に負担をかけることになると言うことです。
薬などの化学物質も副腎にとって炎症を起こすストレスになりますので、なるべく飲まない方が良いでしょう。

9.皮膚の乾燥や薄毛、白髪など

頭皮を気にする女性

皮膚がカサカサする、シワが増える、髪がパサつく、抜け毛や薄毛、白髪が増えるなどの目に見える老化は、副腎が元気な人とそうでない人とで差がついてくると言えます。

副腎は、ホルモンの土台になるのでホルモン分泌する内分泌器官として土台になります。
その上に甲状腺があるので、副腎の機能が弱くなっていると甲状腺も弱くなり機能が低下してしまいます。
甲状腺の機能が低下してくると身体がむくみ、ボテッとしてきます。
甲状腺ホルモンは、エネルギーを生産するホルモンになるので自らエネルギーを使わないで済む状況に持っていこうとします。

つまり、エネルギー不足の為に家に閉じこもり、外に出ていかなくなるのです。
身体は冷えて免疫も低下し、風邪を引きやすくなっていきます。
そして、髪の毛は薄くなり肌ツヤがなくなり乾燥もしてきます。

白髪はビタミンB不足が原因のことが多いです。
副腎でコルチゾールを作る時にビタミンBを大量に消費します。
大きなストレスがあると短期間でも白髪が増えることがありますが、これはストレスに対抗する為にコルチゾールが大量に生産されてビタミンBを一気に消費してしまうからです。

10.リウマチなどの自己免疫疾患

自己免疫疾患は、本来であれば自分の身体を守る為に異物を排除する免疫反応が自分自身の細胞やタンパク質などを異物として見なして攻撃をしてしまう病気になります。

例えば、自己免疫疾患が関節に出ればリウマチ、甲状腺に出たらバセドウ病になります。
免疫機能をコントロールするのも副腎のコルチゾールの働きです。
疲れていてコルチゾールが不足すると免疫を上手く調整することができなくなってしまいます。

バセドウ病や橋本病など甲状腺で起る病気は、副腎の機能低下と関係があります。
ホルモンの土台である副腎が弱くなると甲状腺の機能も弱くなるので体内での免疫反応に異常が起こっていると言えます。

また、アレルギー症状も副腎が関係をしています。
アレルギー性鼻炎、花粉症、気管支喘息などの炎症を抑えるのも副腎のコルチゾールです。
副腎の機能が低下してコルチゾールが不足するとアレルギーの炎症を抑えきれなくなって、ある日アレルギーを発症したり症状を悪化させたりしてしまいます。

このようにこれらの症状は、もしかしたら副腎が疲労していることが原因になっている可能性もあります。

参考書籍⇒アメリカ抗加齢医学会の新常識! 老化は「副腎」で止められた