トレーニング・フィットネス

筋力アップに効くのは「重さ」、筋肥大には「回数」?効果の違いについて

トレーニングをするにあたり、トレーニングの原則である過負荷の原則や漸進性の原則を考慮してトレーニングプログラムを作成していきます。
一般的に筋力を向上させたい場合は、段階的に負荷を増加させていきます。
筋肥大の場合であれば、負荷の増加に加えて回数の増加を考慮してプログラムを組むことが多いかと思います。
これまでの筋力向上と菌肥大の有効性についてのレビューによると筋力向上には負荷の増加が有効で、菌肥大には回数やセット数の増加、またこれらを乗じたトレーニング量の増大が有効であると報告されています。

この記事では、筋力トレーニングにおけるトレーニングの負荷とトレーニング回数の漸進的増加による筋肥大、筋力、筋持久力などに及ぼす効果について説明をしていきたいと思います。

筋力トレーニングの基本原則

筋力トレーニングで効果を出すためには、主に以下の2つの原則が重要です。

  • 過負荷の原則(Overload Principle)
    筋肉にいつもより強い負荷をかけることで、筋肉はそれに適応し、より強く、大きくなろうとします。
  • 漸進性の原則(Principle of Progression)
    トレーニングに慣れてきたら、少しずつ負荷を上げていくことです。
    同じ負荷を続けていると、筋肉がその負荷に慣れてしまい、成長が止まってしまいます。

筋力向上と筋肥大

  • 筋力向上
    主に「重い負荷を少しずつ増やすこと」が効果的とされています。
  • 筋肥大
    「負荷の増加」に加えて、「回数やセット数の増加」、つまり「トレーニングの総量を増やすこと」が有効だと考えられています。

実験でわかったこと、負荷の増やし方による効果の違い

ある研究報告を紹介したいと思います。

筋力トレーニングを週3回以上行っている大学生の男女43名を対象に反復回数を一定の範囲内に保持しながら負荷を増加させるグループ(LOAD)と、負荷を一定に保ちながら反復回数を増加させるグループ(REPS)にランダムに振り分けました。
筋力トレーニングは、バックスクワット、レッグエクステンション、ストレートレッグカーフレイズ、シーテッドカーフレイズを行います。

LOADは各セットの回数を8~12回、設定回数以上できるようになったら負荷を増加。
REPSは、最初に設定した負荷で各セット可能な限り反復を行いました。
いずれのグループもすべてのセットで最後の1回ができなくなるまで行うようにしています。
トレーニングの開始時の負荷は10RM、各種目4セット、インターバルは2分、頻度は週2回の8週間。

結果

下肢全体の筋厚の増加率は6.7~12.9%、特に大腿直筋LOADに比べて増大が見られました。
外側広筋、内側・外側腓腹筋、ヒラメ筋ではほとんど変化が見られませんでした。
スクワット1RMにおいていずれのグループも増加しましたが、LODAのほうが優位な増加を示しました。
筋持久力については、グループ間の差はほとんどありませんでした。

筋力トレーニングを定期的に行っている若年男女において、反復回数を8~12回以内に保持しながら負荷を増加させる方法と10RMを保持しながら反復回数を増加させる方法のいずでもほぼ同等の効果が得られることが示されました。

比較された2つのグループ

  1. LOAD(負荷増加)グループ:
    • 方法: 8〜12回できる重さでトレーニングし、その回数以上できるようになったら重さを増やす。
    • 結果: スクワットの筋力(1RM)がより大きく向上しました。
  2. REPS(回数増加)グループ:
    • 方法: 最初の重さ(10RM)で、できるだけ多くの回数をこなす。
    • 結果: 筋力向上はLOADグループほどではありませんでしたが、同様の効果が見られました。

まとめ

この研究から分かることは、「筋力をつけたい場合は、少しずつ重さを増やしていく方法(LOAD)がより効果的である」ということです。

一方で、「回数を増やす方法(REPS)でも、筋力向上や筋肥大(筋厚の増加)にほぼ同等の効果がある」ことが示されています。

どちらの方法でも効果は期待できますが、筋力アップを最優先するなら「重さを増やす」、トレーニングの総量を重視するなら「回数を増やす」というように、目的に応じてやり方を変えるのが良いのではないでしょうか。