メンタルヘルス

【チームで支える】心の病気の治療・サポートに携わる専門家(職種)を解説

心の病気の治療やサポートは、精神科医だけでなく、様々な専門知識を持つコメディカルスタッフが連携する「チーム医療」によって行われています。

ここでは、精神科の治療・支援チームを構成する主要な専門家たちの役割をご紹介します。

医療の中心を担う専門家(診断と治療)

1. 精神科医

  • 役割: 精神疾患や心身症などの**診断と治療(薬物療法、精神療法)**を専門的に行います。
  • 特徴: チーム医療の中心的な役割を担い、患者の状態を把握し、全体の治療計画を作成・決定します。

2. 薬剤師

  • 役割: 薬の専門家として、治療の中心となる薬物療法をサポートします。
  • 特徴: 精神科の薬は効果や副作用に個人差が大きいため、患者の訴えを丁寧にヒアリングし、医師へのフィードバックや服薬指導を通じて、安全で効果的な治療を後押しします。

心理的・精神的なケアを担う専門家

3. 公認心理師(国家資格)

  • 役割
    心理学の知識・技術に基づき、心理査定(アセスメント)や心理面接(カウンセリング)、助言・指導などの援助を行います。
  • 特徴
    2017年に誕生した心理職初の国家資格です。
    医師の診断に基づき、医師と連携しながら心理面から治療を支えます。
    医療機関のほか、学校、福祉、司法など活動の場は広範です。

4. 心理カウンセラー(臨床心理士など)

  • 役割
    医師が十分に時間を取れない中で、時間をかけて患者の心の問題に深くアプローチし、心の整理をサポートします。
  • 種類
    職場でのメンタルヘルスを扱う産業カウンセラー、学校での生徒・教員を支援するスクールカウンセラーなど、活動分野に応じて様々な専門家がいます。(※医師ではないため、診断や薬の処方はできません)

日常生活と社会復帰を支援する専門家

5. 精神保健福祉士(PSW)

  • 役割
    精神疾患を抱える方とその家族に対し、社会福祉の立場から支援を行う専門家です(精神科ソーシャルワーカーとも呼ばれます)。
  • 特徴
    入退院の援助、社会復帰のための相談、住宅確保、年金・福祉制度の利用案内、家族関係の調整など、日常生活や社会復帰に必要な生活環境を整える幅広いサポートを担います。

6. 作業療法士(OT)

  • 役割
    心身に障害がある人の日常生活や社会生活の再建を目指し、心身機能の回復を図るリハビリテーションの専門家です。
  • 特徴
    精神科領域では、創作活動(陶芸・絵画)、レクリエーション(ゲーム・スポーツ)、料理などの「作業」を通じて、心身の安定と回復をサポートし、主体的に日常生活を送れるように支援します。

7. 看護師

  • 役割
    医療チームの一員として、医師の治療のサポートと、患者の心理面・身体面のケアを担当します。
  • 特徴
    患者と接する時間が長く、コミュニケーションによる心理的ケア、症状の観察、入浴や排泄などの日常生活援助、服薬のサポートなど、多岐にわたるケアを通じて、患者と医師の懸け橋となります。

まとめ|チーム医療で包括的なサポートを実現

心の病気の治療は、一人の専門家だけで完結するものではありません。

精神科医による診断・治療を中心に、公認心理師が心のケアを、精神保健福祉士が社会復帰を、作業療法士が心身機能の回復を、そして看護師が身近なケアを担うなど、様々な立場から専門家が一つのチームとして連携し、病気の改善と社会復帰を多角的にサポートしています。