メンタルヘルス

凝り固まった心をほぐす「適応的思考」の身につけ方|具体例と書き換えのコツ

「どうせ自分なんて」「絶対にこうすべきだ」……。

そんな風に自分を追い詰めて、苦しくなっていませんか?

私たちの気分や行動は、その時々の「ものの捉え方(認知)」に大きく影響されます。
心が辛い時、そこには「思考の偏り」が隠れているかもしれません。

今回は、柔軟な考え方を取り戻す「適応的思考」を身につけるための具体的なテクニックと、参考になる事例をご紹介します。


思考の偏りを軽減する「3つの言葉の書き換え」

自分の考え方の癖(偏り)は、自分一人ではなかなか気づきにくいものです。
まずは、普段使っている「言葉」を少し変えることから始めてみましょう。

①「~すべき」を「~にこしたことはない」に変える

「~しなければならない」「~すべき」という言葉は、自分や他者を追い詰める典型的な思考です。
これを以下の表現に置き換えてみましょう。

  • 「~にこしたことはない」
  • 「~できたら嬉しいが、いつもそうなるとは限らない」

これだけで、心の余裕(遊びの部分)が生まれます。

②「いつも」「必ず」といった断定をなくす

時々しか起こらないことを「いつもそうだ」と思い込むのは、思考の偏りです。
「いつも」「きっと」「絶対に」といった極端な言葉を意識して使わないようにするだけで、現実に即した冷静な判断がしやすくなります。

③「みんな」「全員」という決めつけを捨てる

「みんなが自分を嫌っている」「全員がこう考えているはずだ」という考えは、現実にはあり得ません。
多様な視点があることを受け入れるために、「~な人もいるかもしれない」と含みを持たせてみましょう。


他人の事例から学ぶ「適応的思考」のヒント

自分の偏りは見えにくくても、「他人の偏り」なら客観的に気づけることがあります。
BさんとCさんの事例を通して、どのように思考を修正(適応)させていくかを見てみましょう。

【ケースA】スピーチで失敗したBさん

緊張からくる「完璧主義」が苦しみを生んでいたケースです。

項目内容
状況友人の結婚式のスピーチで、緊張して何度も噛んでしまった。
自動思考「盛り上げる場面で、つまらない話しかできない自分は最低だ」
推論の誤りすべき思考(完璧でなければならないという思い込み)
適応的思考「気の利いた話ができればベストだが、全員ができるわけではない。お祝いの気持ちが伝われば、それで十分だ。」

【ケースB】ママ友の反応が気になるCさん

相手の反応をネガティブに予測しすぎる「結論の飛躍」が起きていたケースです。

項目内容
状況ランチを断った際、相手に「あっそう、じゃあまた今度」と言われた。
自動思考「嫌われたのかもしれない。きっともう二度と誘われない。」
推論の誤り結論の飛躍(根拠がないのに最悪の結末を想像する)
適応的思考「一度断っただけで嫌われるとは考えにくい。相手も『また今度』と言っているし、次に期待すればいい。」

なぜ「適応的思考」が必要なのか?

スピーチやプレゼンで過度に緊張してしまう原因の多くは、「完璧に話さなくては」「良い印象を残さないと」という思考の偏りにあります。

適応的思考とは、単なるプラス思考(ポジティブシンキング)ではありません。

「現実をより柔軟に、バランスよく捉え直すこと」です。

「~すべき」という重荷を少し下ろして、「~ならもっといいけれど、そうでなくても大丈夫」と考えてみる。その一歩が、あなたの心をふっと軽くしてくれます。


次に試してほしいこと:

今日、あなたが「イラッ」としたり「モヤッ」としたりした瞬間を一つ思い出してみてください。
その時、心の中で「~すべき」という言葉を使っていませんでしたか?
それを「~にこしたことはない」に書き換えて、ノートにメモしてみることから始めてみましょう。