除草剤成分グリホサート(ラウンドアップ)の安全性論文が撤回へ。2025年12月
世界で最も使用されている除草剤成分である「グリホサート」を巡り、2025年12月、科学界を揺るがす大きな動きがありました。
25年間にわたりグリホサートの安全性を裏付ける「決定版」として引用され続けてきた論文が、学術誌から正式に撤回されました。
この記事では、なぜ今になって論文が撤回されたのか、その背景にある「ゴーストライティング」問題や私たちの食の安全への影響について解説していきたいと思います。
グリホサート論文撤回(2025年12月)
2025年12月初旬、学術誌『Regulatory Toxicology and Pharmacology』は、2000年に掲載されたグリホサートの安全性に関するレビュー論文(Williams et al., 2000)を撤回すると発表しました。
この論文は、グリホサートに発がん性や生殖毒性がないことを結論づけており、世界中の規制当局(EPAや日本の内閣府食品安全委員会など)が安全基準を策定する際の重要な根拠の一つとして扱われてきたものです。
論文撤回の主な理由
- 著者の不透明性(ゴーストライティング)
Monsanto(モンサント、現バイエル)の従業員が執筆に深く関与していたにもかかわらず、著者リストに含まれていなかった。 - 利益相反の不開示
企業側からの資金提供や寄稿の事実が隠蔽されていた。 - データの偏り
論文の結論が、企業による未公開データに過度に依存していた。
ゴーストライティングとは?科学的妥当性への疑念
今回の撤回で最も問題視されているのが、「ゴーストライティング」です。
これは、特定の利害関係を持つ企業が論文を執筆し、権威ある科学者の名前だけを借りて発表する手法を指します。
2017年の「モンサント・ペーパー」と呼ばれる内部文書の流出により、同社の社員が「我々が執筆し学者が名前を貸す形にする」といった内容のメールをやり取りしていたことが発覚し、これが今回の2025年の正式な撤回へとつながりました。
日本への影響と食品安全委員会の見解
日本国内においても、グリホサートの安全性については関心が高いトピックかと思います。
- 規制への影響
今回撤回されたのは2000年の古い論文ですが、その後の多くの評価報告書がこの論文を引用しています。
ただし、現在の規制は、より新しい独立した研究データも参照していたりするので、直ちに「全ての基準が崩れる」というわけではありません。 - 消費者の不安
「安全の根拠」とされてきたデータに不正があったことで、輸入小麦や農作物の残留農薬に対する懸念が再燃する可能性があります。
過去の撤回事例|セラリーニ論文との違い
グリホサートに関しては、過去にも有名な論文撤回騒動があるようです。
| 論文名 | 撤回理由 | 結果とその後 |
| セラリーニ論文 (2012) | ラットの実験手法が不適切(発がん性を強調しすぎ) | 撤回されたが、後に別の雑誌で再掲載。議論は継続。 |
| ウィリアムズ論文 (2000) | 企業によるゴーストライティング(倫理違反) | 2025年12月に撤回。安全性評価の公平性が問われている。 |
今回の撤回は、実験データの不備(科学的誤り)よりも、「研究倫理(不正な関与)」が重く見られた形です。
まとめ|グリホサート問題はどう変わるのか
25年前の論文が撤回された事実は、「企業主導の科学」が規制を歪めてきた可能性を浮き彫りにしました。
今後、世界各国の規制当局は、企業データに依存しない、より透明性の高い再評価を迫られることになるのではないでしょうか。
今後の注目ポイント
- 裁判への影響
米国で続くラウンドアップ訴訟において、この撤回が被害者側の有利な証拠となるか。 - 規制の見直し
日本や欧州の規制機関が、撤回された論文を引用していた箇所の修正や再審査を行うか。
発表から25年たって撤回された「モンサント除草剤論文」【寄稿】






