様々な働きを調整するホルモン|インスリン、甲状腺ホルモン、コルチゾール、アドレナリン
ホルモンの役割は?
ホルモンは、体内の様々な働きを調整しています。
ホルモンが多いと身体に良いイメージを持つ人も多いかもしれませんが、特定のホルモンが過剰、または不足すると体内のホルモンバランスが崩れてしまい不調を招いてしまいます。
バランスが大事で必ずしもホルモンの分泌が多ければ良いと言うわけではありません。
例えば、血糖値が上昇すると分泌されるインスリンは、糖質を細胞内に取り込んでエネルギーとし利用する為に分泌されます。
その一方でグルカゴンというホルモンは、血糖値を上げる働きを持っています。
このようにホルモン同士がバランスを保ちながら身体の機能を調整しています。
では、ホルモンのバランスが崩れてしまうとどうなってしまうのでしょうか。
ストレスを感じると身体は、コルチゾールというホルモンを分泌します。
コルチゾールが適量であれば問題ありませんが、過剰になってしまうと食欲が刺激されてしまうので体重の増加に繋がってしまうことがあります。
さらにホルモンの乱れは睡眠の質を低下させてしまったり、疲れやすさを引き起こしてしまったりすることもあります。
ホルモンのバランスを保つ為には、生活習慣を整えることが重要です。
規則正しい生活をして、バランスの取れた食事に適度な運動をするようにすると良いでしょう。
朝起きたら朝日を浴びるとセロトニンの分泌が促されて、気分が安定し睡眠の質を高めてくれます。夜はリラックスする時間を作ることで、メラトニンという睡眠ホルモンが分泌され深い眠りにつきやすくなります。
インスリンとⅡ型糖尿病

食事をすると血糖値が上がりインスリンが分泌されます。
これによって糖質がエネルギーとして利用されたり体内に蓄えられたりする働きを助けてくれます。
しかし、インスリンのバランスが崩れてしまうと糖尿病などの病気の発症リスクを高めてしまいます。
糖尿病は、Ⅰ型糖尿病とⅡ型糖尿病があります。
Ⅰ型糖尿病は、遺伝的要因などによって膵臓がインスリンを生成できなくなってしまう疾患です。
Ⅱ型糖尿病は、インスリンは生成されますが、その作用が十分でなく血糖値のコントロールが難しい状態です。
一般的な生活習慣病とされている糖尿病は、Ⅱ型糖尿病で生活習慣が大きな要因になります。
血糖値が高い状態が続くと、心臓病や視力障害など様々な健康リスクが高まってしまいます。
糖尿病を予防するには、血糖値を適切にコントロールすることが重要です。
まず栄養バランスの取れた食事が基本で、糖質の過剰摂取を避けることが大切です。
低脂肪のタンパク質、全粒穀物を積極的に摂取することが推奨されています。
これらによって血糖値の急激な上昇を避け安定したエネルギー供給が可能になります。
食後に数分間歩くだけでも血糖値のコントロール効果があるとされています。
週150分以上の中強度運動や週2回以上の筋力トレーニングを行うとより効果的です。
運動は継続させることが最も大切なので、無理なく続けられるように行うようにしましょう。
ストレスによって甲状腺ホルモンが乱れることも

甲状腺は首にある小さな器官になります。
サイロキシンとトリヨードサイロニンという2種類のホルモンを作っています。
これらのホルモンは、代謝やエネルギーの生成、体温調節など様々な身体機能の維持において重要な役割を果たしています。
しかし、これらが不足してしまうと甲状腺機能低下症と呼ばれる状態になり、肌や髪の乾燥、疲労感、抑うつ、便秘などが出ることがあります。
一方でホルモンが過剰に分泌されると甲状腺機能亢進症となり、動悸、イラ立ち、下痢、筋力低下などの症状が見られることがあります。
この場合、ホルモン分泌を抑える薬物療法や甲状腺細胞を破壊する放射性ヨウ素治療が効果的です。
精神的ストレスや身体的ストレスによって引き起こされる場合もあります。
特に女性では、出産後1年以内に産後甲状腺炎と呼ばれる一時的なホルモンバランスの乱れが生じることがあります。
多くは自然に回復しますが、症状が強い場合は医師の診察を受けることが推奨されています。
甲状腺機能は、加齢によっても変化します。
60歳以上になると甲状腺機能が低下する可能性があり、血液検査でホルモン値に異常が見られることがあります。
ストレスに対応するコルチゾールとアドレナリン
コルチゾールとアドレナリンは、私たちの身体がストレスに対応する為に欠かせないホルモンになります。
危険を感じたり強いストレスを受けたりするとこれらのホルモンが分泌され心拍数を上昇、血流を増加させることで筋肉や脳に素早くエネルギーを供給します。
コルチゾールとアドレナリンは、緊急時における身体の防御反応を支えています。
これらのホルモンバランスが崩れると健康に様々な影響が出てきます。
例えば、副腎腫瘍が原因でコルチゾールが過剰に分泌されるとクッシング症候群と呼ばれる症状が出ることがあります。
体重増加、高血圧、皮膚が薄くなる、筋力低下などの症状が出てきます。
一方でコルチゾールの分泌が不足するとアジソン病のような症状が出ることがあります。
低血圧や疲労感、体重減少などが主な特徴です。
また、コルチゾールとアドレナリンは血糖値の調整にも関わっています。
血糖値が低下した時は、これらのホルモンによって血糖値を維持するように働きます。
しかし、糖尿病患者の場合、コルチゾールとアドレナリンがインスリンの働きを抑制することで血糖値を上昇させてしまい、血糖値のコントロールがより困難になることがあります。
コルチゾールとアドレナリンのホルモンのバランスの乱れを予防するには、ストレスを軽減することが重要と言えます。
ヨガや瞑想、軽いウォーキングなどの適度な運動がホルモンバランスを整える効果があります。
職場や家庭でのストレスを軽減するには、こまめな休息や気分転換の時間を作ることも効果的です。
慢性的なストレスを抱えている場合は、心理カウンセラーや医療機関に相談してみる良いかとは思います。
ストレスを減らすことは、心身の健康を保つだけでなく長期的な健康維持や生活の質を向上させるのに欠かせない重要なことです。