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プロテインは長期的な筋力トレーニングの効果を高める!タンパク質はバランス良く摂取しよう

タンパク質の補給に役立つプロテイン

栄養補給の基本はバランスの良い食事です。
ですが、忙しい人にとっては毎日バランスの取れた食事を考えて、それを継続させるのはなかなか難しいことかもしれません。

また、タンパク質を食事だけで補おうとすると肉や魚、卵、大豆、乳製品などを多く食べないといけません。
高タンパク質な食事は、高脂肪食になりやすいので、必要のない脂質を多く摂り過ぎてしまうこともあります。
このような時に役立つのがプロテインです。

近年では、加工・製造技術が向上したことで安価になり、飲みやすさも昔よりも格段に良くなり、味の種類も増えて市場が拡大をしています。

代表的なプロテインと言えば、牛乳に含まれる乳タンパク質を加工した「ホエイ」「カゼイン」、大豆を加工した「ソイ」があります。

ホエイは、牛乳から脂肪分や固形成分を取り除いたもので、チーズを作る際に捨てられる乳清やヨーグルトの上澄み液としても知られています。
他のプロテインに比べて必須アミノ酸が豊富に含まれています。
水溶性タンパク質なので摂取すると素早く小腸で吸収されます。
筋力トレーニング後、素早く栄養補給できることからファストタンパク質とも呼ばれます。

ホエイプロテインは、加工法の違いによって「コンセントレーション」「アイソレーション」「加水分解」があります。
コンセントレーションは乳清をフィルターでろ過して残った液体を濃縮したものです。
ビタミンやミネラルなど他の栄養素を含む分、タンパク質含有率は75~85%となっています。
また、乳糖が残っているので乳糖不耐症の人はお腹がゴロゴロしてしまう可能性もあります。
比較的加工が容易であるので価格が安く最も人気があるプロテインになります。

アイソレーションは、コンセントレーションをさらにろ過して他の栄養素を取り除いてタンパク質の純度を高めたものです。
タンパク質含有率は90%以上になりますが、製造に手間がかかるのでコンセントレーションよりも価格は高くなります。

加水分解は、酵素を使ってタンパク質をペプチドまで細かく分解したものです。

ペプチドは、アミノ酸に近い状態ですので吸収速度が速いのが特徴です。
製造に手間がかかるので価格も高めです。

カゼインは、ホエイと同じく牛乳に含まれる固形タンパク質から作られます。
水に溶けにくく消化・吸収に時間がかかるので、体内のアミノ酸濃度を長時間支えてくれます。
カゼインは、スロータンパク質と呼ばれています。

ソイは、大豆に含まれる植物性タンパク質から作られるプロテインで、消化・吸収速度はホエイとカゼインの中間ぐらいです。
他のプロテインにはない抗酸化・抗炎症作用が特徴です。

プロテインは筋力トレーニング後の長期的な効果に役立つ

筋肉を鍛える男性

プロテインの長期的な効果を検証したメタアナリシスは、これまで複数報告されています。
しかし、スポーツ科学やスポーツ栄養学では、最近になるまで見解の一致が得られていませんでした。
それは、メタアナリシスで対象になった全ての研究報告がトレーニング経験の有無や年齢、トレーニング期間、プロテインの摂取条件などがバラバラの条件で行われていたからです。

そこで2017年マクマスター大学のモートンらは、プロテインと筋力トレーニングの効果について検証した17カ国49の研究報告を基に被験者や検証条件の基準を包括的に揃えたうえで過去最大規模となるメタアナリシスを実施しています。

対象者には、トレーニング経験者や未経験者、若者や高齢者が含まれていて検証条件では筋力トレーニングは週平均3日×13±8週間と言う条件が設けられました。

プロテインは、ホエイ、カゼイン、ソイなどの種類に関わらずトレーニングをした日は平均20±18gを摂取されました。
これらの条件で解析をしたところ「プロテインは筋力トレーニングによる筋肥大、筋力増強の効果を長期的に高める」ことを示唆する結果が得られました。

さらにこのメタアナリシスでは、筋力トレーニングとプロテインの関係において重要なことも得られています。
それは、筋力増強、筋肥大におけるプロテインの効果には「条件による異なりがある」と言うことです。

筋力増強では、プロテインによって1RMが増加することが明らかになりましたが、その効果はトレーニング経験の有無によって異なっていました。

トレーニング経験者はプロテインによって筋力増強の効果が認められましたが、トレーニング未経験者では有意な差は認められませんでした。
若者と高齢者では、プロテインによって筋力増強効果に有意な差は認められませんでした。

年齢はプロテインによる筋力増強の効果に影響を与えないと言うことです。
筋肥大については、いずれの対象者も全身の筋肉量、大腿部の筋断面積が明らかに増加していました。

しかし、その効果は年齢による影響が認められ、若者はプロテインによって筋肥大効果が促進され、高齢者ではその効果が低いことが示されました。

これは、高齢者の場合、加齢によるタンパク質の合成抵抗性が生じることが原因と考えられています。
さらに筋肥大の効果についても筋力増強と同じでトレーニング経験の有無による差が認められました。
経験者は、プロテインによって筋肥大の効果が高まり、未経験者では有意な効果が示されなかったのです。

これは、過去最大のメタアナリシスですが、高齢者に限定した研究報告のサンプル数が少ないので、さらなる検証が必要になるかと思います。

ですが、プロテインの摂取が長期的な筋力増強、筋肥大効果に寄与すると言うことは確かでしょう。

タンパク質は摂取3時間おきベストかもしれない

プロテイン

筋力トレーニング後にタンパク質を摂取することを意識している人は多いと思います。
しかし、摂取タイミングまで気にしている人はあまりいないのではないでしょうか。

スポーツ科学やスポーツ栄養学の専門家は、タンパク質の無計画な摂取は筋力トレーニングの効果を台無しにしてしまう可能性があると指摘をしています。

オーストラリア・RMIT大学のアレタらが行った興味深い検証実験があります。
アレタらは週2回以上トレーニングを行う20代の被験者を集めて7日間にわたってトレーニング後12時間における筋タンパク質の合成率を調べています。
その際、アレタらは被験者を3つのグループに分けて同量(80g)のタンパク質を異なる時間帯・量で摂取させています。

グループA、タンパク質40gを6時間おきに摂取する
グループB、タンパク質20gを3時間おきに摂取する
グループC、タンパク質10gを1.5時間おきに摂取する

7日間の実験後、筋タンパク質の合成率を比べたところ、グループBが最も高い合成率を示しました。
一方でグループAやグループCは、筋タンパク質の合成率があまり増えませんでした。

この結果から「3時間おき」がタンパク質摂取の最適なタイミングであると言うことが言えます。

ですが、現実的に3時間おきに摂取することはなかなか難しいことでしょう。
そこで、テキサス大学医学部のマメロウらは、より現実的な2つの摂取パターンを想定し、筋タンパク質の合成率を検証しています。

トレーニング経験のない被験者を2つのグループに分け、一方は朝食・昼食・夕食で同量のタンパク質を摂取する「バランス食パターン」と朝食・昼食が少なく、夕食に多くのタンパク質を摂取する「偏食パターン」としました。
両グループとも1日3食で摂取するタンパク質は同じ量として、これをトレーニングと合わせて7日間継続しました。

その結果、筋タンパク質の合成率は1日後、7日後ともに「バランス食パターン」が優位な増加を示しました。
3時間おきでなくて、1日3食でバランス良くタンパク質を摂取すれば、トレーニング効果を高められることが示唆されたわけです。

タンパク質は、1日3食バランス良く摂取することが大事と言えます。

プロテインは食事にプラス?それとも食事の間?

プロテインを飲む女性

筋力トレーニングによる筋タンパク質の合成感度の上昇は24時間継続する為、先の検証結果を考えればトレーニング後24時間の3食でタンパク質をバランス良く摂取することが重要になると考えられます。

しかし、実際には筋力トレーニングの効果を高めるほどのタンパク質を食事だけで摂るのは難しいのでプロテインで不足するタンパク質を補っていると言う人が多いのではないでしょうか。
そこで気になるのが、プロテインは食事にプラスするのか、それとも毎食の間に摂取するのか、どちらが効果的なのかと言うことです。

2018年パデュー大学のハドソンらが報告したシステマティックレビューがあります。
ハドソンらは、筋力トレーニング後の食事とプロテインの摂取パターンに関する34の研究報告を分析し、2つの摂取パターンについて筋肉量、脂肪量への影響を検証しました。

その結果、実に興味深い事実が明らかになりました。

筋肉量では2つのパターンの間に有意な差は認められず、同等の筋肥大効果が示されました。
一方で脂肪量では、2つのパターンでいずれも減少傾向が認められましたが、特に食事とプロテインを一緒に摂取するパターンでは脂肪量がより減少しやすいことが示されたのです。

この理由については、ハドソンらは食事のカロリーコントロールによるものとしています。

食事とプロテインを一緒に摂取する場合、プロテインのカロリーを考慮して食事のカロリーを減らすことができます。
しかし、毎食の間にプロテインを摂取した場合、カロリー総量のコントロールが難しくカロリーオーバーになりがちになり、脂肪量の減少効果が少ないのではなか、と推察をしています。

ハドソンらのシステマティックレビューは、対象年齢が10~70代と幅広く、プロテインの種類もホエイ、カゼイン、ソイと様々です。
また、食事内容や摂取カロリーも限定されていません。
なのでハドソンら自身も今後はより具体的な条件のもとでレビューが行われるべきと述べています。

筋力トレーニングの効果を高めるには、3食でバランス良くタンパク質を摂取することが重要と言えます。
しかし、食事だけでは難しい場合は食事と一緒にプロテインを摂取すると良いでしょう。
食事にプラスした場合は、ダイエット効果も得られる可能性もあるかもしれません。