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1日8時間以上の睡眠で高齢者の死亡リスクが高まる|睡眠の質を高める5つのポイント

世代によって必要な睡眠時間が異なる

2024年2月に「健康作りの為の睡眠ガイド2023」で適切な睡眠を取った高齢者とそうでない高齢者の死亡リスクの差が公表されました。
これによると世代ごとに推奨される睡眠時間が異なり、小学生9~12時間、中高生8~10時間、成人6時間以上、高齢者では床上時間が8時間以上にならないこととなっています。
適切な睡眠時間は個人差があり遺伝子で決まっているとされています。

ですが、基本的にはエネルギー消費量に比例して睡眠時間は長くなり、深い睡眠が必要となってきます。
反対に加齢とともにエネルギー消費量が落ちてくると睡眠は短く浅くなっていきます。
これは、アメリカの睡眠学会が定めた適正睡眠時間を見ても分かります。
25歳で7時間、45歳で6.5時間、65歳で6時間となり20歳年齢が上がるごとに30分ずつ短くなっていきます。

寝過ぎてしまうと死亡リスクが高まる

高齢者になると寝過ぎが寿命を縮めてしまいます。
その理由は、睡眠時間が長いと睡眠の質が悪くなることが考えられます。
睡眠の質を考える上で重要なのは、起床時に「身体と心が休まったという実感を得られるかどうか」です。
長く寝ても実際に眠れる時間が増えるわけではないので、むしろ入眠に時間がかかり途中で目が覚めやすくなってしまい睡眠の質が悪くなってしまいます。

もう一つ考えられる理由は、日中の活動時間が減ることです。
日中の活動が減るとエネルギー消費量も減って睡眠の質を低下させてしまうことに繋がります。
活動時間の減少は、運動不足、認知機能の低下に直結してしまい、肥満、高血圧、糖尿病、心筋梗塞、認知症、うつなどの生活習慣病のリスクを高めてしまいます。

高齢者は、寝過ぎによって1.57倍も死亡リスクが高くなるとされています。
これは、夜の睡眠に限らないようです。
高齢者の場合、30分以上の昼寝も死亡リスクを高めてしまうことが分かっています。
昼に寝過ぎると日中の活動が減って夜の眠りが浅くなってしまいます。
これは、若い世代でも言えることで30分以内の睡眠は集中力を高めるなどプラスの効果が期待できます。
しかし、30分以上寝てしまうと眠りが深くなって、起きた時に頭がぼんやりしたり、身体がだるく感じたりする睡眠慣性と呼ばれる状態なってしまいます。

また、短すぎる睡眠時間は寝過ぎと同様に生活習慣の原因となります。
睡眠は、適切な時間取るのが重要となります。
健康作りの為の睡眠ガイド2023では、高齢者の床上時間が8時間以上にならないこととなっています。
これは、眠っている時間だけでなく布団に入っている時間も含まれるということです。
起床の時間から逆算して床につくと良いでしょう。

睡眠の質を高める5つのポイント

眠る女性

睡眠を改善させるのは、なにも特別なことをするわけではないのでそれほど難しくはないと思います。
生活習慣や睡眠環境を見直せば、睡眠の質を高めて病気のリスクを軽減させることができます。
ポイントは5つです。

・夕食は就寝の2時間前までに済ませる
食事をした後は、消化分解をして吸収したりする働きで体温が上がりますが、2時間ほどで下がってきます。
なので、夕食は2時間前までに済ませておくと良いです。
できれば夕食は、食べ過ぎずに消化の良い物を食べると良いかと思います。
といっても仕事をしているとなかなか難しいかもしれません。

・寝具は寝返りができる硬さのものを選ぶ
人が眠る為の条件が、寝返りが打てることです。
寝返りが打てるかどうかが、寝具選びの基準となります。
寝具が柔らかすぎると身体が沈み込んで寝返りが打ちにくくなるので、幅が広く少し硬めのマットレスや枕が適しています。

・寝る前にストレスを極力なくしてリラックスする
ストレスは交感神経を刺激して脳が覚醒してしまい質の良い睡眠を妨げてしまいます。
反対に副交感神経が優位になると血圧が低下してリラックスした落ち着いた状態になります。
副交感神経が優位にするには、アロマや音楽、ストレッチなどが有効です。
入浴もリラックス効果がありますが、熱い湯船だと交感神経が刺激されてしまうのでぬるま湯が良いです。

・起きたら朝日を浴び、日中は外で活動をする
睡眠を促すメラトニンというホルモンは日光を浴びると分泌が止まり、15~16時間後に再び分泌され入眠を促してくれます。

・痛み、かゆみ、夜間頻尿の三大身体症状の原因となる疾患を治療する
これらの症状によって睡眠が妨げられてしまいます。
この3つの症状は糖尿病によっても引き起こされますが、これらの原因となる疾患を治療するようにしましょう。

生活習慣や睡眠環境を変えることで睡眠の質が改善させることができるかと思いますので、これらを意識してみてはいかがでしょうか。

参考雑誌⇒プレジデント2024年12/13号 間違いだらけの健康常識