筋力トレーニングと有酸素運動を同日にするとマイナス効果が?コンカレントトレーニングの干渉作用
コンカレントトレーニングとは?
複数のトレーニングを同時に行うことをコンカレントトレーニングと言います。
例えば、筋力トレーニングとランニングを組み合わせて行うことです。
コンカレントトレーニングは、異なる種目を組み合わせることで全身のバランスを整えることができます。
全身をバランス良く鍛えることができるコンカレントトレーニングは効率的な方法と言えます。
多くのスポーツでは、筋力、瞬発力、筋持久力、全身持久力などトータル的な体力が求められます。
なので、コンカレントトレーニングをすることでスポーツパフォーマンス向上に繋がります。
複数の種目を組み合わせることで、身体のバランスや柔軟性も向上し、より幅広い動きができるようにもなります。
これによって、スポーツ競技や日常生活での身体の動きの質を高めることができます。
しかし、コンカレントトレーニングを効果的に行う為には、計画的な取り組みが必要です。
自己流で行う場合、適切な負荷や順序を誤る可能性があります。
筋力と持久力は相反する能力でもあり干渉作用が起こります。
干渉作用によって筋力トレーニングの効果が抑えられてしまうことがあるのです。
筋力トレーニングと有酸素トレーニングを同日に行う場合は、特に注意が必要になります。
コンカレントトレーニングによって筋力トレの効果が減少
1日に筋力トレーニングと有酸素トレーニングを行うコンカレントトレーニングを長期的に行った場合、干渉作用が起こります。
コンカレントトレーニングは、異なる体力要素をバランス良く鍛えることができますが、その干渉作用によって筋力トレーニングの効果を妨げることが分かっています。
コンカレントトレーニングの影響をまとめたメタ分析では、コンカレントトレーニングによって下半身の筋肥大、筋力、パワーの増加が筋力トレーニングだけを行った場合と比較して効果が減少してしまうことが報告されています。
一方で近年発表されたシステマティックレビューとメタ分析では、コンカレントトレーニングによる筋肥大や最大筋力への影響は小さいものの、パワーである爆発的筋力への影響は大きいことが指摘されています。
また、コンカレントトレーニングはトレーニング経験が豊富な人ほど、筋力トレーニングの効果を妨げてしまうことが報告されています。
では、効果的に筋力トレーニングと有酸素トレーニングを行うにはどうすればいいのでしょうか。
コンカレントトレーニングによる干渉作用を回避するには、トレーニング間隔を24時間以上空けることが推奨されています。
24時間以上空けることで干渉作用を回避できる
コンカレントトレーニングによる干渉作用を回避するには、筋力トレーニングと有酸素トレーニングの間隔を24時間以上空けることが推奨されています。
どうしても同じ日に行わないといけない場合は、筋力トレーニングの後に有酸素トレーニングを行うこと、運動強度を75%以下に設定をするなどが提案されています。
また、2週間単位でメインで行うトレーニングの体力要素を変化させるハーフメゾサイクルモデルを取り入れることもおススメです。
例えば、はじめの2週間では筋力トレーニングを週3回行い、有酸素トレーニングは筋力トレーニングを行わない日に週1回行います。
そして、次の2週間では筋力トレーニングを週1~2回行い、有酸素トレーニングは筋力トレーニングを行わない日に週2回行うことです。
これによって干渉作用を最小限にし、異なる体力要素を効果的に向上させることができます。
健康増進であればそれほど考える必要はない
コンカレントトレーニングの干渉作用を考えてトレーニングをすることが効果的に筋力や持久力を高めることができますが、これはスポーツをしているアスリートの場合です。
一般の人が健康増進で行う筋力トレーニングや有酸素運動であれば、干渉作用を考慮する必要はないと思います。
アスリートとは目的が違うからです。
健康増進が目的であれば、同じ日に筋力トレーニングと有酸素トレーニングを行っても特に問題はないでしょう。
オーソドックスな基本的な筋力トレーニング、有酸素運動を同日に行っても筋力も持久力も共に向上していきます。
干渉作用は、高強度の有酸素運動をしてしまうと影響が出てくるので健康目的で行う程度であれば気にする必要はありません。
効果的に体力要素を向上させたい、高い体力レベルを獲得したい人は、干渉作用も考慮してトレーニングを組み立てていくと良いかとは思います。