細胞について知ろう|なぜ老化するの?
目次
身体を構成している数十兆個の細胞
私たちの身体は数十兆個を超える細胞によって構成されています。
細胞は遺伝子を持った核と細胞質、細胞膜で構成されています。
細胞質には、エネルギーを作るミトコンドリア、タンパク質を運送するゴルジ体、タンパク質を合成するリボソームなどの小器官があります。
細胞の主な働きは、エネルギーの産生、タンパク質の合成・運搬、ごみの処理(代謝産物の処理)、恒常性を保つなどがあります。
細胞には、核がありDNAはその中に存在しています。
DNAは身体の設計図で遺伝子=アミノ酸の配列情報が記録されています。
アミノ酸の並び方をもとに核細胞において身体の構成に必要なタンパク質から作られています。
DNAは、細かくて長いひも状で絡まったり切れたりしないようにヒストンというタンパク質に巻き取られて染色体を形成しています。
1つの核には46本の染色体があります。
人体は一つの受精卵から誕生します。
受精卵が多能性幹細胞へ、さらに組織幹細胞へと分化します。
その後、組織幹細胞が各組織に必要な細胞を生み出します。
生み出された細胞自体も細胞分裂を繰り返すことにより数十兆個にも及ぶ細胞数へと成長して身体を構成します。
細胞は常に古いものが壊されて、組織幹細胞により新しいものが作られています。
これが新陳代謝です。
新陳代謝は加齢とともにそのサイクルは遅くなっていきます。
なぜ老化するの?
私たちはなぜ老化していくのでしょうか。
老化は自然現象で避けることができません。
老化は下記のような要因が考えられています。
テロメアが短くなる
染色体には、末端にテロメアと呼ばれる部分があります。
テロメアは遺伝子情報に関わっていなく、遺伝子情報を保護する役割があるとされています。
細胞は、種類にもよりますが50回ほど分裂すると言われていて細胞分裂の度に末端のテロメアが使用されて短くなっていきます。
テロメアがある一定の長さまで短くなると細胞は分裂することができなくなり細胞の老化や死に繋がっていきます。
ですが、例外がありガン細胞は無限に細胞分裂できると考えられています。
では、なぜガン細胞は増え続けることができるのでしょうか。
1日に作られる細胞数は数千億個と言われています。
なので細胞分裂の際に遺伝子情報のコピーミスが起きることがあります。
健康な人でも毎日数千個の正常ではない細胞が作られていて、これがガン細胞になります。
ガン細胞は通常、異物と見なされ免疫細胞によって除去されます。
しかし、免疫機能が低下してしまうとガン細胞の除去が追い付かずに増殖してしまいます。
さらにガン細胞はテロメアの長さを維持するテロメラーゼという酵素が活性化していて細胞分裂を無限に繰り返すことができると考えられています。
オートファジーの低下
オートファジーとは、細胞内にある老廃物を分解する仕組みのことです。
自分で自分の細胞を包み込み分解することから自食作用とも言われています。
細胞内部に老廃物が見つかるとそれらを包み込む為の膜が出現します。
この膜は、不要な細胞質を包み込むように大きく進展し、オートファゴソームという二重構造の球体のようなものになります。
その後、オートファゴソームは細胞内部にあるリソソームと融合します。
リソソームには分解酵素が含まれていてオートファゴソーム内部の老廃物を分解します。
処理された老廃物は、アミノ酸として再利用されるのでオートファジーは細胞内のリサイクルにも役立っています。
幹細胞の減少
細胞を生み出す幹細胞は分裂する際、通常の細胞にはない自己複製能を持つ為自分自身を残し続けることができます。
理論上は減らないとされていますが、年来と共に幹細胞自体の数が減ってしまい、新生児の幹細胞の量を200とすると80代では約1にまで減少すると言われています。
ミトコンドリアの機能低下
細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアの機能が落ちるとエネルギーが十分に作り出せなくなるので細胞分裂をして新しい細胞を生成したり傷ついた細胞を修復したりすることができなくなります。
DNAの損傷
DNAが活性酸素や紫外線などで損傷して修復が追い付かなく状態で細胞分裂をしてしまうと劣化したまま間違った情報が受け継がれてしまいます。
損傷・劣化した情報が蓄積された結果、老化やガンに繋がると言われています。
活性酸素による老化
私たちは呼吸によって1日500リットル以上の酸素を取り込んで生命活動をしています。
しかし、ミトコンドリアでのエネルギー産生の過程で取り込んだ酸素の2~3%が活性酸素になるとされています。
活性酸素は、強い酸化作用があり体内に侵入した細菌やウィルスなどを攻撃して身体を守る働きがありますが、必要以上に増えてしまうと健康な細胞のDNAやタンパク質、脂質まで酸化させてしまいます。
その結果、動脈硬化や心疾患、ガンなど様々な疾患の要因になると考えられています。
私たちの体内では常に活性酸素が発生しています。
その為、身体を活性酸素から守る酵素が体内で作られています。
それが、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)です。
SODを含む複数の抗酸化酵素が連携して活性酸素を無害な水分子に変えています。
しかし、抗酸化酵素は加齢と共に衰えていくので、加齢によって活性酸素の影響を大きく受けるようになっていきます。
定期的な適度な運動はSOD活性が高くなることが知られています。
活性酸素を生む要因としては、タバコ、食品添加物、大気汚染、紫外線、激しい運動、ストレスなどがあります。
糖化による老化
ご飯やパン、麺類、甘いお菓子やジュースなどで過剰に摂取した糖質が体内のタンパク質と結合し体温で熱せられることで糖化が起こります。
その後、様々な過程を経て最終的に作られる物質の総称をAGEsと言います。
タンパク質が糖化することで皮膚や血管、骨、脳など全身の機能が低下し老化に繋がります。
AGEsは、高温で調理された揚げ物などのキツネ色の食品に多く含まれていますので、日常的に食べていると糖化を進めてしまいます。
抗酸化物質で老化を予防しよう
加齢によって体内の抗酸化機能は低下していくので、抗酸化物質を含む食品で補うようにすると良いとされています。
具体的には、ビタミンA、C、E、カロテノイド、ポリフェノールなどです。
これらの成分は、野菜や果物に多く含まれていますが、お茶やコーヒー、ゴマ、アーモンドなどにも含まれています。
抗酸化物質を多く含む食品を普段から摂取するようにしてみましょう。
また、食事だけでなく適度な運動、十分な睡眠、ストレスを溜めないことも大事です。
睡眠は、活性酸素の除去、新陳代謝が活発になる時間です。
睡眠は毎日十分な時間を確保しましょう。