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マスク社会の危険

マスク社会で表情を読むことが困難になった子供たち、密は子供の発達に欠かせない

マスク社会で表情を読むことができなくなった子供たち

周りにいる大人たちがいつもマスクをしていると子供たちは表情を読むことができなくなってしまいます。
家では、お母さん、お父さんがマスクを外して表情をみせているから問題がないと言う意見もあるかもしれません。
しかし、ある表情はこういう意味を持っているという理解をお母さん、お父さんなどごく身近な人との間だけではなく、家族以外の様々な他者にも当てはめて広げていく必要があります。

これを般化学習と言います。

これこそが社会性を育む為に必要となるプロセスになります。
現代社会で乳幼児の社会性を育む場として大きな役割を果たしているのは、保育園やこども園、幼稚園などです。
これによって子供たちは、多種多様な人々の表情や振る舞いに触れる機会を多く得てきました。

ですが、マスク着用が日常的になってしまった今では子供たちは相手がどんな表情をしているのかを理解することが難しく、またそれを真似る機会も少なくなっているのです
実際に保育園で子供に接している先生からは「子供たちに笑顔を向けても反応が薄い」「子供たちに思いが伝わっていないように感じる」と言ったような声が上がっているそうです。
先生がマスクをしていると子供たちにとっては表情を読み取ることが非常に難しいのです。

さらには、自分が笑った時にも先生が笑い返してくれているのかどうかが分からないのです。
パンデミック以降に生まれたマスク世代は3歳を迎えようとしています。
日本のマスク社会は、もしかしたら永遠に続くかもしれません。
今までの対策についての検証も反省も何もなく、コロナ騒動によって激変した社会がこのまま長期化していくのを私たちは傍観していて果たしていいのでしょうか。

2022年4月、BBCがこんな記事を配信しました。
日本でいう文部科学省の第三者研究機関にある公的機関があります。
その機関がコロナでの英国の子供たちの現状について報告書を公表したという内容です。
それによるとコロナの2年で、相当な数の子供たちに言語の獲得の遅れや表情の乏しさ、不安傾向といったマイナスの影響が出ているとのことです。

欧米はすでに感染対策の為の規制はかなり緩められていて、屋外でも室内でもマスクをしている人はほとんどいません。
このような英国ですら、子供たちにこうした問題が生じているのです。

本当にこのままでいいのでしょうか。

英国では科学者の提言がリスペクトされる

メディカル

英国は国主導でいち早く科学的根拠を現場で収集しました。
この報告書を公表する前から既に保育や教育の現場に言語療法士などの専門家を国が派遣していました。
英国では、保育、教育現場に既に50億ポンド(8000億円以上)を投資してきたそうです。

一方日本では、感染を防ぐ対策ばかりで、マスクが子供たちの発達に対しての影響については目が向けられてきませんでした。
新しい生活様式が子供たちの脳や心にどれほどの影響があるのか、それを証明するデータを出せ、というのです。

そんなデータなんて現時点であるわけがありません。
これは脳科学者による予測なのです。
脳科学者でなくても、普通に考えれば予測できるでしょう。

これは身体で起る病気、疾患のメカニズムを特定してから薬を作ったり、治療したりする研究分野とは異なります。
その予測が妥当かどうかをデータで証明する為には、マスク世代の成長を待つしかありません。

しかし、それが証明されるまで待っていては遅過ぎます。
この予測が外れていれば、それはそれで良いのです。
問題は、もし予測通りになってしまい何かしらの問題が生じていた場合です。
問題が生じてから対処しようとするのではあまりにも遅過ぎるのです。
子供たち一人一人の人生がかかっているからです。

英国では、ヒトの脳や心の発達を専門とする基礎研究者に対して大きな敬意が払われます。
また、研究者もその成果を社会に還元するという自覚を持っているのではないでしょうか。
研究者と現場の専門家によるタッグがいち早く組め、問題に取り組める土壌がすでにあるので、日本とは圧倒的に異なります。

医療の分野でも、近年では予防医学という病気になりにくい心身を作って健康の維持に努めようという考え方があります。

教育の現場でもマスク着用をはじめとする新しい生活様式の徹底による何かしらの問題が生じる前から厚生労働省や文部科学省が明確な方針をたてるべきではないでしょうか。
現実には、現場任せの状況になっているのではないでしょうか。

大人はできるだけマスクを外して、子供たちへの身体接触も今までと変わらないようにしよう、と頑張っている保育園やこども園、幼稚園もたくさんありますが、感染対策ばかりを考えている現場も多くあります。
しかし、未だに徹底した感染対策を求める保護者や地域社会の声も未だに強くあるようです。

マスク着用などの感染対策は、子供たちにとって大きなマイナスの側面もある、大人とは異なる発想で対策を考える必要があるということを今一度考えてもらいたいものです。

アタッチメントを形成、密は子供の発達に欠かせない

公園で遊ぶ親子三人

乳幼児期では、身体接触の経験も重要です。
ですが、コロナでソーシャルディスタンスを取ることが強調されてきました。
オンラインでのコミュニケーションも日常化し他者と現実に接触しなくても生きていけると感じている人も多いかもしれません。

しかし、これも完成した脳を持っている大人だからです。
これは私たちヒトが生物であるという事実を軽視した考えであるとも言えます。
げっ歯類やサルなどの哺乳類動物が身体をくっつけ合って生活をしているのと同じようにヒトも密や接触を基本とし、そういう身体や脳の仕組みを進化の過程で獲得してきた生物です。

哺乳類動物が生後の生存可能性を高めるには、栄養を養育固体から与えられることが重要ですが、それだけではありません。
養育固体と身体を接触させる経験を通して、両者の社会的絆、愛着(アタッチメント)を形成することが不可欠です。

アタッチメントを最初に理論化したのは英国の精神医学者ジョン・ボウルビィです。
アタッチメントの本義は、ヒトを含む動物の子供は親にしっかりとくっつくことで身体生理に起こる変動を安定化させ生存確率を高めることにあります。

ボウルビィは、その原理を精神活動にも当てはめました。
子供が未知の危機的状況に陥ると、恐れや不安などの情動の変化や、鼓動が高まる、瞳孔が開くなどの身体変化が急激に起こります。
未熟な子供は、その変化を自らの力で制御することができません。
養育固体の身体にくっつくことでそれを安定化させようとします。
こうした経験を特定の誰かとの間で累積していくことで、子供は精神の安定・安心を得ていきます。

アタッチメントは乳幼児期に形成されます。
この時期のアタッチメント形成は、その後の脳と心の発達に大きく影響を及ぼします。

乳幼児期にネグレクトを受けるなどの不適切な環境で育って、特定の誰かとアタッチメントを形成する機会が奪われてしまうと、その後の心身の発達が遅れたり、病気に対する抵抗力が弱くなったりすることが知られています。

また、うつ病や多動性障害、解離性障害などが思春期に現れやすくなることも分かっています。
乳幼児期にある特定の誰かとアタッチメントをしっかりと形成することは、その子の人生を左右するほど重要なことになるのです。

参考書籍⇒マスク社会が危ない 子どもの発達に「毎日マスク」はどう影響するか?