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腸内細菌バランスと健康関連 -「腸内フローラを整える」ことで肥満、アレルギー、睡眠、免疫、物忘れ、便秘対策に!

腸内フローラは食事が基本

腸内フローラという言葉を一度は聞いたことがあるのでしょうか。
私たちの腸内には、約2kgの腸内細菌が存在していて、人によって腸内細菌の種類や数が違います。
腸内フローラとは、この腸内細菌の集団のことを言います。
多様な細菌が存在している状態を腸内フローラが整っているとされています。

日本人を対象に1,800人の腸内の研究をしたところ腸内フローラの傾向を「肉多め型」「バランス型」「炭水化物多め型」「糖・脂質多め型」「ヘルシー型」の5つのタイプに分けることが分かったそうです。
バランス型とヘルシー型は、健康のリスクが低いのですが、その他のタイプは肥満や健康リスクが高い状態と言えます。

腸内細菌の改善は普段の食事が基本となります。
なので、腸内フローラを改善させるには、普段の食事を意識して変えていく必要があります。
大事なのは様々な食材を摂るようにして、腸に悪い高脂肪食を減らすようにすることです。

腸内細菌は私たちの身体に様々な影響を及ぼしていると考えられていますので、もしかしたらあなたの体調が悪いのは腸内フローラが悪いからかもしれません。

ダイエットが期待できるブラウティア菌

お七周りを測る女性

近年では、ダイエットに良いとされるプロバイオティクスなども販売されているようですが、しっかりとした臨床試験を行って有効とされているものはありません。
しかし、2022年に日本人の健康な人と糖尿病患者の比較研究や動物モデルを用いて検証したところ、ブラウティア菌には、肥満の抑制、2型糖尿病などメタボリックシンドロームに関する疾患の改善が期待できることが判明したそうです。

ブラウティア菌は、人間の腸内における最優勢菌であり特に日本人に多く、腸内細菌の約3~11%を占めていることが報告されています。
内臓脂肪が少ない人ほどこのブラウティア菌が多いことが分かったのです。

ブラウティア菌は、ほぼ全ての日本人が持っている菌です。
この菌を活性化させることができれば、やせやすい体質にすることができるかもしれません。

では、ブラウティア菌を活性化させるにはどうすればいいのでしょうか。

腸内細菌は、それ自体が動いて作用するわけではなく、エサがないと動けません。
そのエサとなるのが食物繊維です。
食物繊維を多く摂ることでブラウティア菌を活性化させることができます。
食物繊維は食材の種類にもよりますが、野菜や果物、海藻類、納豆などに比較的多く含まれていますが、必要量を摂るのはなかなか大変です。
食物繊維を効率よく摂るには、茶色い炭水化物を摂ると良いかと思います。

例えば、白米を玄米やもち米にする、食パンを全粒粉パンにするなどするだけでも効果が期待できるかと思います。
体型が気になる人は意識してみてはいかがでしょうか。

ビフィズス菌BB536でアレルギー体質が改善するかも

深呼吸している女性

腸内細菌は、アレルギー疾患と関わりがあることが分かっています。
幼児期、あるいは妊娠中に抗菌薬を使用したり、妊娠中に母親が高脂肪食を食べ続けたりすると腸内フローラの変化を引き起こしてアレルギーのリスクが高まることが知られています。

日本は、世界でもアレルギーの人が多い国です。
花粉症も多く、食物アレルギーも年々増加傾向にあります。

また、お腹の調子が悪いという場合も、その中には好酸球性胃腸炎のようにアレルギーによるものも含まれています。
これは、コンビニ食などで食生活が偏りがちの他にも幼少期に過剰に殺菌された環境で育てられ、腸内細菌の種類が少なくなった結果、免疫細胞が作用しないことが原因と考えられています。
田舎で育った子供は、自然とともに育っているのでアレルギーに強い傾向があります。
都会の清潔なマンションなど限られた環境で育った人ほど、腸内細菌の多様性に欠けアレルギー体質になりやすい傾向があるのです。

加齢によって失われる腸内細菌もいるので大人になってから細菌の種類を増やしたいと思ったら口から摂取するのが手軽です。
ビフィズス菌BB536は、アレルギーの改善について最も広く用いられている菌になります。

ビフィズス菌の種類は数多くありますが、通常のビフィズス菌は酸や酸素に弱い性質があります。
BB536は、胃酸に強く口から摂取しても生きたまま大腸に届く特徴があります。

ビフィズス菌BB536は、乳児から発見された菌で腸内環境を整えて善玉菌を増やす効果があり、臨床試験でも発熱や鼻水を軽減する結果が出ています。

ビフィズス菌の基本的な機能は、乳酸や酢酸などの短鎖脂肪酸を作ることです。
短鎖脂肪酸が作られると腸内が弱酸性になって悪玉菌が増えにくい腸内環境になります。

臨床試験によるとビフィズス菌には花粉症、アトピー性皮膚炎などのアレルギー関連の症状を改善する効果があるとされています。

BB536の場合、スギ花粉が飛び始める約1ヶ月前から摂取した花粉症患者で試験をしたところ、花粉症の自覚症状が緩和され症状と関連する血中マーカーも改善されたという結果が出ているようです。
ですが、アレルギー体質を改善したいからと言ってBB536をたくさん摂れば良いということではありません。
腸内フローラの多様性と同じくらい大事なのがバランスです。

腸内細菌は、お互い影響し合って効果を発揮しています。
なので食べる時は、メーカーが指定している容量通りに摂るようにしましょう。

ビフィズス菌MCC1274は認知症に効果あり

脳伝達イメージ

腸と脳は自律神経やホルモン、サイトカインなどの物質を介して双方向的に影響を与え合っています。
これを脳腸相関と言います。
緊張するとお腹が痛くなると言った現象もこれが影響をしています。

近年では、腸内細菌が脳の働きに影響を及ぼすことを示す報告がされています。
アルツハイマー病の原因と言われるアミロイドβの蓄積が腸内細菌が関係しているという研究結果があるそうです。

また、アルツハイマー病患者の腸内細菌は、健常者に比べて多様性が低く、ビフィズス菌の占有率が低いという報告もあります。
このようなことから良好な腸内環境を保つことが認知症の予防に繋がる可能性があるかもしれません。
ビフィズス菌MCC1274は、実験で認知症処方薬と同等の認知機能改善作用があることが判明したそうです。

アルツハイマー型認知症では、脳に慢性的な炎症反応が起きているとされています。
アルツハイマー病などの炎症性神経変性胃疾患と関係性があるといわれる血中HbA1cの値が高かったグループに対する試験において、MCC1274の認知機能改善作用がより大きいことが確認されました。
MCC1274の摂取によって脳内の過剰な免疫反応や炎症に関連する遺伝子の発現が抑えられていると考えられています。

軽度認知機能障害の可能性が高い高齢者を対象にMCC1274を摂取してもらい、認知機能評価検査を行って変化を検証したところ、摂取開始から16週後と24週後に認知機能の有意な上昇が認められました。
さらに物忘れに悩む高齢者にMCC1274を摂取してもらい、認知機能評価の変化を検証した結果、プラセボ群と比べて明らかな改善が見られました。
認知機能に対する有効性を持つ菌の存在がヒトでの臨床試験で報告されたのです。

ヒトによる臨床試験の結果、ビフィズス菌を摂取しても腸内に定着することはなく増えないことが分かっています。
一度摂取しても便になって腸から出てしまうので、2週間程度で腸内からいなくなってしまうとされています。
なので毎日飲むことでその有効成分がお腹の中で機能するようになります。

森永乳業では、ビフィズス菌MCC1274を含むヨーグルトを記憶対策ヨーグルトと呼び、記憶力の維持に有効なビフィズス菌として有名となっています。

ヤクルト1000で睡眠の質が改善

眠る女性

朝の目覚めが良くなると脚光を浴びたのがヤクルト1000のシロタ株です。
乳酸菌の一種であるラクトバチルス属カゼイン菌に属し、現在確認できている中で睡眠の質を高めてくれる唯一の菌になるようです。

シロタ株は、ヤクルト本社しか保有していないとのことで腸内でシロタ株を増やしたいと思ったらヤクルトを飲むのが一つの手になります。

ヤクルト1000は眠りが深くなり、その快眠効果が口コミで広がり大ヒットした商品になります。
これは1ml中に10億個と大量のシロタ株が含まれている為、睡眠の質向上が期待できるようです。

プラセボ群と比較研究では、ヤクルト1000を飲むことで熟眠時間、熟眠度がともに高まり、起床した時の眠気も下がったことが確認されたそうです。

また、被験者の人たちのストレス体感とストレスを受けた時に分泌が増えるコルチゾール濃度の上昇が継続的な服用で抑えられることが分かりました。

シロタ株は、胃酸に強く生きたまま腸に届きます。

しかし、必ずしも効果があるわけでもありません。
飲酒や寝る前にコーヒーを飲んでいたりしていれば、睡眠を妨げてしまい、効果は実感できなくなってしまいます。

また、不規則な生活をしていて体内時計が乱れている場合も効果を実感するのは難しいかと思います。
シロタ株の効果を実感するには、睡眠の質を下げないような習慣をすることが前提になります。

シロタ株は、腸内細菌の中で最も研究されてきた腸内細菌のようです。
睡眠の質の改善やストレスの軽減の他にも様々な作用が報告されているとのことです。

例えば、免疫機能を強化することができるとされています。
食中毒を引き起こすノロウイルスに対しても日常的にシロタ株を摂取していると発熱日数が半減するという統計があるそうです。
今度、さらに研究が進んで新しい効果が出てくるかもしれません。

プラズマ乳酸菌で全免疫細胞を統括する細胞を活性化

私たちの腸内には、全身の約7割の免疫細胞が集まっています。
これを腸管免疫と言います。
腸内環境を整えて腸内環境を整えることで免疫細胞をしっかりと働かせることができます。
そこで有名なのがプラズマ乳酸菌です。

プラズマ乳酸菌の正式名はJCM805株と呼ばれる乳酸菌で、キリンや小岩井農場などによって共同開発されました。
これまでの乳酸菌も腸内のNK細胞(ナチュラルキラー細胞)など一部の免疫細胞を活性化させることができました。
ですが、プラズマ乳酸菌はPDCという腸内の全免疫細胞を統括している細胞に働きかけることができます。

プラズマ乳酸菌では、風邪やインフルエンザの諸症状を対象に人による臨床試験もしっかりと行ったうえで機能表示が認められています。
免疫作用において、乳酸菌は死菌でも同様の効果を得ることができるようです。
なので発酵食品だけではなく、粉末化してお菓子などにも配合するなど、摂取の選択肢が幅広いのも特徴になります。

風邪に罹りやすい人は、一度試してみると良いかもしれません。

便秘解消の市販薬は宮入菌が入ったもの

酪酸菌は酪酸を生産する腸内細菌の総称です。
腸内環境を整えて善玉菌を増やすことによって整腸作用を発揮してくれます。
整腸作用が認められたプロバイオティクスの中でも最古参の菌の一つが宮入菌です。
悪玉菌が増殖した患者に宮入菌を投与することで乳酸菌、ビフィズス菌など善玉菌が増加することが確認されています。

酪酸菌が生産する酪酸、酢酸などの短鎖脂肪酸は腸管粘膜のエネルギーとして利用され、水分吸収の促進、腸管上皮細胞の増殖促進、抗炎症作用、抗潰瘍作用を発揮します。
中でも宮入菌は製剤中における耐熱性、安定性が及び胃酸に対する抵抗性が高く、各種抗生物質と同時に投与しても問題なく、腸内で発芽、増殖するという特性があります。
毒素原性大腸菌の毒素の生産を抑制し、腸管出血性大腸菌の感染を防ぐという作用も確認されています。

ドラッグストアで売られている市販薬にも宮入菌が含まれているものもあります。
便秘薬を選ぶ時は成分卵を確認してみると良いかと思います。

参考雑誌⇒PRESIDENT プレジデント 2023年.6.2号