トレーニングしてない側にも効果が期待できるエキセントリックトレーニング|筋肥大・筋力アップの刺激に
エキセントリック収縮とは?
トレーニングを日々行っている人であれば、エキセントリックという言葉を一度は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
エキセントリック収縮とは伸張性筋収縮のことで、ネガティブ動作、遠心性収縮とも言ったりもします。
伸張性筋収縮は筋肉が力を発揮しながら伸びていく動作になります。
腕のトレーニングの肘を曲げ伸ばしを行うダンベルカールであれば、ダンベルを下ろす局面のことをエキセントリック収縮と言います。
反対にダンベルを持ち上げる局面のことは、コンセントリック収縮といい、ポジティブ動作や求心性収縮とも言います。
通常トレーニングでは、コンセントリックもエキセントリックも同時に行っています。
この二つの運動様式の大きな違いとしては、発揮筋力が違うことです。
コンセントリックとエキセントリックとでは、発揮できる筋力に大きな差があります。
どちらも同じではないのと思うかもしれませんが、大きな筋力を発揮できるのはエキセントリック収縮のほうになります。
その筋力は、コンセントリックの発揮筋力の約1.2~1.5倍程度になります。
コンセントリックの最大筋力が100kgであれば、エキセントリックは120kg~150kgということになるのです。
エキセントリックは発揮筋力がコンセントリックよりも高いので、トレーニング効果もより得ることが可能になります。
筋損傷はエキセントリック収縮で起こる
ダンベルは、持ち上げることよりも下ろすほうを意識するようにとよく言われます。
これは勢いよく下ろすと危険というのももちろんありますが、それだけではありません。
ゆっくりと力を抜かずにコントロールしながら下ろすことによるトレーニング効果を得る為でもあります。
強度の高い運動、つまり筋力トレーニングをすると筋肉に微細な損傷が起こります。
これが筋肉痛の原因になったりします。
実は、この筋肉の損傷はダンベルを持ち上げる動作ではなく、下ろす動作であるエキセントリック収縮の局面で起こりやすいのです。
コンセントリック収縮の局面では、筋損傷は起こりにくいです。
筋肥大について簡単に説明をするとトレーニングによって筋肉が損傷を受け、それを修復する過程で以前よりも強い筋肉が作られます。
これを繰り返すことで、少しずつ筋肉が大きくなっていくとされています。
ですので、筋肉に大きなダメージを受けるエキセントリックを行うことで筋肥大を促すことができると考えられるのです。
実際にエキセントリックを強調したエキセントリックトレーニングを取り入れているアスリートやボディビルダーの人も多くいます。
なかなかトレーニング効果が出にくくなってきたと思うのであれば、新たな刺激としてエキセントリックトレーニングを取り入れてみると良いかと思います。
エキセントリックでトレーニングをしてない側の筋力もアップ
エキセントリックトレーニングは、筋肥大を促す良い刺激になります。
トレーニング効果が出にくくなっている人は、エキセントリックを強調したトレーニングを取り入れてみると良いかと思います。
また、エキセントリックに関する研究で面白い報告があります。
エキセントリックは、トレーニングをしていない側の筋力増加にも貢献するという報告があります。
腕のダンベルカールを週1回、10×3セットのエキセントリックトレーニングを片腕だけ行い、もう片方の腕はトレーニングをしない状態でどのような効果があるのか検証した研究があります。
これによるとトレーニングをした側が19%の筋力が増加し、トレーニングをしていない側が10%の筋力増加が確認されたそうです。
エキセントリックトレーニングをすると、驚くことにトレーニングをしていない側の筋力もアップしたのです。
脚のトレーニングのブルガリアンスクワットでも同様の研究が行われています。
片脚を台に乗せて行うブルガリアンスクワットは元々両脚使うのですが、主に前脚の腿の大腿四頭筋、お尻の大殿筋等がメインのトレーニングになります。
ブルガリアンスクワットで片脚だけのエキセントリックトレーニングを週2回、10×3セット、5週間実施したところ両側とも同程度の筋力増加が見られたそうです。
なぜトレーニングをしていない側にもトレーニング効果が出たのかについては分かっていません。
この研究報告から片側のトレーニングは両側一緒に行うトレーニングよりも有効になるのかもしれないと考えることができそうです。
片腕・片脚がケガしてトレーニングができない状態の時に、片方のエキセントリックを行うことでケガした側の筋力低下・筋委縮を予防することに繋がるかもしれません。
また、エキセントリックトレーニングを行うと特に早期、1周目から筋力が増加することが報告されています。
エキセントリックはどう取り入れる?
エキセントリックトレーニングは、筋力や筋肥大を促す重要なトレーニング刺激になると考えられます。
では、実際にどのようにエキセントリックトレーニングを取り入れていけばいいのでしょうか。
これについては明確になっているわけではないので、オーバートレーニングにならないように上手く取り入れていくと良いと思います。
エキセントリックは筋損傷が起こりやすいです。
なので頻繁に行ってしまうとオーバートレーニングになってしまう可能性が高くなるので回数や重さを上げ過ぎないようにしましょう。
まずは、通常のトレーニングに週1回で重さや回数も少なめのエキセントリックを強調したトレーニングを取り入れてみて、そこから色々と調整をしていくと良いのではないでしょうか。
回数や重さは、初めは少なく設定をしましょう。
初めから多くしてしまうと酷い筋肉痛になってしまい、その後のトレーニングに影響が出てしまうかもしれませんし怪我のリスクも高まってしまいます。
エキセントリックトレーニングに慣らしていき回数や重さは少しずつ上げていくようにしてみましょう。
筋肉痛があるとトレーニング効果が高いと思われている人も多いかもしれません。
ですが、筋肉痛の度合いと筋肥大はイコールではありません。
筋肉痛が出るとやった感が出ますが、トレーニング効果とは関係があるわけではありません。
あまりにも筋損傷が大きいとトレーニング効果が出ないことも分かっています。
トレーニングは筋肉痛が出ないように、出ても軽く出る範囲で行うことが望ましいかもしれません。
トレーニングによる筋肉の損傷は筋肥大を促す刺激になるかもしれませんが、必ずしも必要なことでもありません。
筋肉痛にさせることが目的にならないようにいましょう。
また、筋伸張位トレーニングは筋肥大に有効です。
筋肉が伸ばされる状態でのトレーニングは、筋肉を大きくする為の重要な刺激になります。
例えば、胸であればダンベルバタフライ、上腕三頭筋であれば、腕を上げている状態で行うでフレンチプレスです。
これらの種目は、筋肉がストレッチされている状態で負荷がかかっています。
このような筋伸張位トレーニングが筋肥大に有効になります。
そして、トレーニング効果を高めるには大きな可動域で行うことが重要です。
基本的には、動かせる範囲を目一杯使ってトレーニングをするようにしてみましょう。
ただ、可動域全域で行うことで関節への負担が増し、ケガのリスクが高くなってしまうこともあるので無理に全可動域で行う必要はもちろんありません。
トレーニング効果が出にくくなっている人は、一度エキセントリックトレーニングや筋伸張位トレーニングを取り入れてみてはどうでしょうか。