健康情報館

ヘルス&フィットネス~日々の健康・身体作りに役立つ知っておきたいこと~

健康情報館
トレーニング・フィットネス

ダッシュを繰り返す能力であるスプリント持久力について

スプリント持久力とは?

スプリント能力は、主にサッカーやバスケなどに求められる繰り返し走る持久力と考えられています。
スプリント持久力は英語でrepeated sprint abilityと表現されます。
直訳をするとスプリントを反復できる能力になりますが、持久力や有酸素運動を意味する言葉は入っていません。

スプリント持久力とはダッシュを何回も反復することができる能力です。
ゲーム中に何回もダッシュをしていれば、スピードが下がったりダッシュできる時間が短くなったりしていきます。
サッカーやバスケなどの球技では、状況に応じて何度もダッシュできた方が良いですし、そのスピードはより速い方が良いです。
さらに言えば、1試合を通じてダッシュのトップスピードが落ちなければさらに良いでしょう。

では、その為にはどのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか。

その答えの一つがHIIT高強度インターバルトレーニングです。
高負荷の運動と休息を繰り返すことでスプリント能力と持久力の両方を高めることができると言うのがHIITになります。

HIITの効果を学術的に示したのが、立命館大学の田畑泉氏です。
スピードスケート日本代表で導入していたことから生まれたとされています。
実際のスピードスケートの試合では、予選から決勝へと1日2本、3本と滑ることはあるかもしれませんが、3分おきに何本も繰り返して滑るようなものではありません。

HIITは、スケート選手が最高速度を維持することを目的として試行錯誤の上、その強化の方法として取り入れられたトレーニングと言えます。

ダッシュを何回も繰り返すスポーツと言えば、サッカーやバスケなどの球技が挙げられます。
これまでにもサッカーの長友選手のように何度もサイドを駆け上がれる選手が注目されてました。
スプリントの反復回数だけでなく、スピードがより速く、さらに後半にもスプリントの回数とスピードが落ちないことが、これまで以上にサッカー選手に求められる要素となっているかと思います。

スプリント持久力は、多くのスポーツ選手にとってとても重要な要素と言えます。

スピード維持だけでなくスピードの向上も重要

ダッシュ

スプリント持久力のトレーニングでは、自転車エルゴメーターやトレッドミル、グラウンドで走るなどのトレーニングがメインとなります。
球技に必要な間欠的持久力の主眼は、高強度運動の反復です。
ただ走るだけではなく、外的要素に応じた力発揮の繰り返しが求められます。

例えば、サッカーやバスケでも、相手選手と身体的接触を伴いながらダッシュやジャンプを繰り返しています。
高強度の筋出力は、時に速筋繊維によるものです。
そのエネルギーは解糖系がメインになりますが、高強度運動を反復する為には、そのエネルギー源を供給する必要があります。
筋肉にエネルギーを供給するに糖を余すことなく利用する為には、ミトコンドリアがカギとなり、高強度筋出力の反復には、速筋の持久力を高めることが重要となります。
高強度間欠的運動は、速筋の持久力を向上させる効果が期待できますが、最大能力を高める効果はほぼ期待できません。
最大能力を高めるには筋力を高めることが重要となります。

スプリント持久力は、最大発揮能力とその維持という観点から言えば筋力も大きく関係をしているのです。

筋肉が発達する前のジュニア年代であれば、能力の最大値を向上するよりも持っている能力の反復維持に重点を置いた方が良いかと思います。
特に小学生であれば、専門的能力や運動能力を高めることよりも、まずはそのスポーツを楽しんで、面白い、もっと上手くなりたい、もっとやってみたいと思えるようにした方が大切かとも思います。
筋力トレーニングや専門的なトレーニングは、身体ができあがってくる高校生くらいから行っていくといいのではないでしょうか。
スプリント持久力のトレーニングだけを行っても十分ではないので「スプリント能力の上限」と「スプリント能力の反復」についてそれぞれに重点を置いたトレーニングを行うことが大切です。

根性論も高強度反復練習になるが注意

サッカーをしている少年

いわゆる根性論での長時間反復練習は、競技練習中の中で体力を向上させる手段としては、理にかなっていると考えることができます。
これも一種の高強度間欠的トレーニングになるからです。

しかし、そこに狙いや意図がないと、それよりも選手が理解していなければただしんどいだけの練習になってしまいます。
どんな競技でも体力強化と競技の練習とは、別と捉えて行う場合があります。
競技の練習内で特にグラウンドでの練習の最初や最後に体力トレーニングを行う場合、気を付けてほしいのは、体力の練習にも競技スキルの練習にもなっていないケースです。

例えば、1000本ノックやライトフライをレフトから走って捕るというのは、本来の競技ではないほぼない状況です。
走ってフライを追いかけて捕る練習は良いのですが、何回かやれば当然疲れてきます。
その時に、ボールを捕れないと捕れるまでやり直しというやり方になっていないでしょうか。
何回も反復していれば、走るスピードも落ち、捕球スキルも落ちてしまいます。
そうなると「これは一体何の練習?」ということになってしまうかもしれません。
特に反復練習の場合、選手が毎回100%の能力を発揮してくれているか、またそれができるような設定になっているかを考えてもらえたらと思います。

いわゆる根性論も高強度反復練習となり理にかなっているとも言えますが、そこに狙いや意図がなければ、何の意味もないと言えます。
何よりも選手が理解してなければ、ただのきついだけの練習になってしまいます。
この練習は何の為に行っているのかをしっかりと指導者が理解し、そのことを選手にも伝え理解してもらった上で練習メニューを考えていくと良いでしょう。