スポーツドリンクは運動中に失われる栄養素を補給できる|塩分濃度は0.1~0.2%、温度は5~15℃が理想
運動中に失われる栄養素を補給
運動中に飲料を摂る目的は二つあります。一つは、体液の原料になる水分とナトリウムなどの電解質を補給することです。
もう一つは、脳、胸、お腹など、体内の深部温度の上昇を防ぐことです。
運動中には、エネルギーとして利用される糖質、塩分、水分などの栄養素が身体から失われてしまいます。
運動をしていなくてもこれらは失われていきますが、少しずつなので食事や水、お茶から補給するだけで十分だったりします。
ですが、高温下や高強度の運動中では発汗によって急激に失われていきます。
適切に補給が行われないと運動パフォーマンスが低下したり脱水症になったりしてしまいます。
運動中はこれらの失われてしまう栄養素を素早く吸収することができる飲料が理想と言えます。
運動中の飲料に含まれる糖質の理想的な濃度は4~8%です。
スポーツドリンクのほとんどがこの範囲になっています。
糖質の量が少な過ぎるとエネルギー補給の効果を得ることができなくなってしまいます。
反対に糖質の量が多過ぎてしまうと飲料の濃度を薄める為に腸管側に流れてしまい、一時的に皮膚や筋肉への血液量が減少するので運動中の飲料としては適していません。
スポーツドリンク中の糖質を気にする人もいるかもしれませんが、運動時間が45分以上である、発汗量が多い夏季では、糖質濃度が4~8%の飲料を摂取することで運動パフォーマンスを維持して熱中症を予防することに繋がります。
理想的な塩分濃度は0.1~0.2%、温度は5~15℃
理想的な塩分濃度は0.1~0.2%、ナトリウム表示では40~80mgが望ましいです。
日本製のスポーツドリンクでは食塩相当量として記載されているかと思います。
この食塩濃度は、吸収にかかわる浸透圧や胃からの排出速度、味覚にも配慮した結果によってこの濃度に決められているようです。
飲料の温度ですが、運動中は冷えた飲料のほうが胃から腸への排出速度が遅くなるので5~15℃程度の温度が望ましいです。
また、冷えた飲料は深部体温を下げる働きも期待できます。
反対に、安静時はとても熱い、もしくはとても冷たい飲料と比べて体温と同程度の飲料のほうが早く吸収されます。
運動中は冷たい飲料、それ以外の時は常温のものを飲むと良いかと思います。
日本スポーツ協会では、下記の飲み物を運動中に推奨しています。
・5~15℃に冷やした水を用いる
・飲みやすい組成にする
・胃に溜まりにくい組成および量にする
スポーツドリンクは薄めていいの?
スポーツドリンクを薄めて飲む人もいるかもしれませんが、水分、塩分、糖質を素早く補給したい場合は、薄めずにそのまま飲むようにしましょう。
スポーツドリンクは、胃からの排出が早いので、塩分や糖質の濃度は必要な栄養素を腸管から素早く吸収されるように調整されています。
どの程度薄めるかにもよりますが、薄めてしまうとその効果を最最大限活かすことができなくなってしまうかもしれません。
運動中で汗をかいている時は、そのまま飲んだほうが熱中症対策、エネルギー補給として優れていると言えると思います。
水分は、小腸で吸収されるので運動時は胃から腸への排出速度が速い飲料が理想的です。
糖や塩分の濃度が高過ぎる、あるいは低すぎると吸収時に浸透圧の調整が必要になり、小腸で吸収が遅くなってしまいます。
この浸透圧を考慮して作られているのがアイソトニック飲料とハイポトニック飲料です。
アイソトニック飲料は、安静時の体液と同じ濃度や浸透圧で作られています。
塩分は0.1~0.2%、糖質が約4~6%と体液に近い浸透圧なので水分、糖質、塩分がバランスよく吸収されます。
しかし、発汗によって体液が薄くなっていると吸収速度が落ちるので運動前や運動後に飲むのが良いとされています。
ハイポトニック飲料は、アイソトニック飲料よりも濃度が薄く作られています。
塩分濃度は0.1%、糖質は2~4%になっています。
運動による発汗で体液が薄くなっている時に飲むのが良いとされています。
スポーツドリンクを薄めてハイポトニック飲料を作ることもできます。
では、どちらを飲めば良いのでしょうか。
アスリートであれば最高のパフォーマンスを発揮する為に考えなければいけないかもしれませんが、アイソトニック飲料とハイポトニック飲料もそれほどこだわる必要はないかと思います。
最も重要なことは、運動中に汗をかいている時は、水分と塩分を摂ることだからです。
目的や好みに応じで好きなスポーツドリンクを選べば良いかと思います。
また、スポーツドリンクは、運動中に飲むものなので、普段の日常生活で飲んでしまうと糖質の摂り過ぎに繋がってしまうので注意しましょう。
普段は、水やお茶を飲むようにすると良いでしょう。